

「花火」というと日本では夏のイメージが強いですが、実は海外の花火大会の事情は少し異なるようです。 他にも、花火が持つ意味合いや仕組みなどにも国ごとの違いがあります。
今回は、
・日本と海外の花火の違い
・各国の花火の特色
・外国人から人気の高い日本の花火大会
についてご紹介します。
記事終盤では、海外からのゲストにおすすめのサービスについてもご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください!
日本と海外の花火の違い

日本と海外では、花火がもつ文化的な意味合いやそもそもの花火の構造が異なります。
日本の花火 | 海外の花火 | |
---|---|---|
花火玉の形 | 円形 | 円筒状 |
打ちあがった花火の形 | 円形 | 三角錐のような形 |
花火大会の時期 | 夏がメイン | 建国記念日や年末年始などの祝日 |
花火の意味 | 慰霊や鎮魂の意味も強い | 祝日や歴史的行事のお祝い |
手持ち花火 | 多い・手軽にできる | 少ない・規制されてる所が多い |
以下からは、日本と世界の花火、どのような違いがあるのかについて詳しくご説明します。
日本の花火
日本の花火、というと皆さんが思い浮かべる季節は「夏」ではないでしょうか?
近年では気象の影響で開催時期をずらす花火大会も増えてきましたが、それでもまだ多くの花火大会が夏休みやお盆の時期に開催されています。
なぜ日本の花火大会は夏の風物詩なのか、という点については「鎮魂(ちんこん)」「慰霊(いれい)」が重要なキーワードです。詳しくは「日本らしい花火とは?」の見出しで解説しています。
また、花火の構造自体も日本と海外ではちがいがあります。
日本の花火は火薬の入れ物(花火玉)も、星と呼ばれるパーツも円形なのが特徴。
このような構造上の特徴により、打ち上げた時に菊のようにまんまるな形になるのです。
花火の歴史についてはこちらの記事でもご紹介しています。

海外の花火
海外の花火は、日本とは違って祝日や年末年始に打ち上げられることが多いです。
多くの国と地域では花火大会=祝日のお祝いや新年のカウントダウンイベントという意味合いが強いです。有名なものだと、アメリカのタイムズスクエアやイギリスのテムズ川のカウントダウンなどが挙げられますね。
中国や中華圏、アジアの国では旧正月(2月ごろ)に花火を打ち上げたり、爆竹を鳴らして新年をお祝いする文化があります。
日本では新年は静かに過ごすことが多いので、文化的な違いが見受けられますね。
構造的な違いに目を向けてみると、欧米の打ち上げ花火は円筒形のものがメインのようです。
さらに中に詰める星も四角形なので、打ち上げると朝顔のような形になります。
円筒形の花火は中身をたくさんつめられて、組み合わせによって演出しやすいのがメリットのようです。
近年では日本でも欧米風の円筒形の花火をアクセントに使ったり、欧米でも日本式の円形の花火が打ち上げられたりしています。
国ごとに見る花火の特徴

ひとことで「海外」と言っても、国や地域によって独自の花火文化があります。
こちらでは欧米やアジア各国の花火文化についてご紹介していきます。
カナダ
あまりイメージがありませんが、実はカナダは花火文化が盛んな国です。
バンクーバーでは、カナダ・スペイン・日本の花火チームが参加する「Celebration of Light」という花火大会が開催され、トロントでは7月1日のカナダ・デー(建国記念日)を記念して花火が打ち上げられます。
ただ、個人が行う花火については規制は強めです。
日本のような手持ち花火ではなく小型の打ち上げ花火がメインで、購入できる日はハロウィンや祝日などに定められています。
アメリカ
アメリカの花火といえば、7月4日の独立記念日と大晦日のカウントダウンイベントが有名です。
特に独立記念日はアメリカの各地で盛大な花火大会が開催され、ニューヨークのメーシーズ花火大会が有名です。
パレードやバーベキューイベントも催されるので、日本とはまた違ったお祭り気分が楽しめます。
一般家庭での花火は山火事やトラブル防止の観点から厳しく規制されています。
特に爆竹やロケット花火などを禁じている州も多く、違反した場合は高額の罰金または懲役(またはその両方)が課せられます。
中国
中国でも花火大会が開催されますが、日本とは違い大事な祝日やお祝い事がある「秋冬のもの」というイメージが強いようです。
お正月や国慶節(建国記念の大型連休)などに花火大会が行われるそう。
中国では1990年以降、北京などの都市部を中心に火災防止や大気汚染対策、騒音対策のために個人が行う爆竹や花火に対して規制が設けられています。
ただ、この規制の強さは時代によって異なり、一時的に緩和されたり、逆に厳しく禁止されたりすることがあります。
ちなみに、文化的に中国の影響を強く受けた長崎や沖縄ではお盆に爆竹を鳴らす習慣があるそうです。
韓国
韓国では10月にソウルや釜山などで大きな花火大会が開催されています。
音楽と合わせたエンターテイメント性の高さが人気で、毎年世界各国から花火師が参加ししのぎを削って美しい花火が打ち上げられています。
また、慶尚南道(けいしょうなんどう)地方では、咸安落火ノリという伝統的な花火行事が行われます。
願いを込めた短冊と木炭粉を混ぜた紐と繋げて燃やす姿は幻想的でありながら、どこか懐かしさを覚えるでしょう。
オーストラリア
オーストラリアで有名な花火大会としては、毎年9月に開催される「ブリスベン・フェスティバル」や、シドニー・ハーバーで行われる大晦日の花火大会などがあります。
花火の打ち上げはもちろんレーザーショーも行われるなど、とても大規模なイベントとして地元民や観光客に愛されています。
乾燥した気候であるため、山火事防止のために個人の花火使用や所持は基本的に禁じられています。
ただし例外的にノーザンテリトリー州では、7月1日の自治体記念日、18時~23時の間のみ花火の使用が許可されているのだとか。
日本らしい花火とは?

各国それぞれに花火の文化があることが分かりました。それでは日本らしい花火とはどのようなものか、振り返ってみましょう。
花火大会が夏の風物詩
現代の花火大会のルーツとも言える隅田川花火大会は、もともと江戸時代に飢饉(ききん)や疫病が流行したことによる慰霊祭(いれいさい)がルーツとされています。
「暴れん坊将軍」のモデルとしてもおなじみ、8代将軍徳川吉宗が主催した「水神祭り」や、享保18年(1733年)に両国橋周辺の料理屋が鎮魂の意味を込めて両国の川開きの日に花火を打ち上げたのが始まりとされています。 参考:隅田川花火大会 公式Webサイト
時代がくだって戦後になると、戦没者慰霊や戦後復興のために開催する花火大会も増えました。
町おこしやエンターテイメント性の高いイベントとしての花火大会も多いですが、依然として「花火大会=夏」のイメージを持つ人が多いでしょう。
手持ち花火ができる
日本では線香花火など手持ちで遊べる花火のバリエーションが豊富です。
海外では手持ち花火の文化はあまり一般的ではなく、アメリカでは火事対策の観点から多くの州で禁止されています。
ヨーロッパでも手持ち花火が販売されていますが、日本のようにバリエーションが豊富というわけではないようです。アジア圏では手持ち花火よりも小型の打ち上げ花火や爆竹の方が一般的です。
手持ち花火も打ち上げ花火と同様に夏のイメージが強いアイテムです。
おそらくお盆休みに親戚の家に遊びにいったり、夏休み中に家族や友達と楽しむことが多いからでしょう。
外国人にも人気!日本のおすすめ花火大会
これから本格的な夏を迎えるにあたって、全国各地で花火大会が開催されます。
外国人から人気のあるおすすめの花火大会を3つ、厳選してご紹介します。
長岡花火大会

国内の花火大会の中でも、圧巻の迫力をほこる「長岡まつり大花火大会」は外国の方からも人気の花火大会です。
もともとは明治12年(1879年)から花火大会が行われていましたが、市民の方々にとって大きな転機となったのは第二次世界大戦でした。
戦争末期の昭和20年8月1日、大規模な空襲(長岡空襲)があり長岡の旧市街地は8割が焼野原となり多くの市民が犠牲となりました。
終戦後の昭和21年(1946年)8月1日「長岡復興祭」が行われ、その翌年からは花火大会が復活。長岡市民の心を癒し、勇気づけています。
そうした敬意もあり、長岡まつり大花火大会にさきがけ空襲が行われた時刻である8月1日午後10時30分には慰霊・先人への感謝・平和への願いを込めて真白な花火を3発打ち上げ、市内の寺院では慰霊の鐘が鳴らされます。
また、2005年から中越大震災からの復興を祈願して打ち上げらていれる「フェニックス」は打ち上げ幅2kmにもおよび、同大会のメインとなっています。
長岡花火大会といえば、信濃川の広々とした河川敷に広がる大輪の打ち上げ花火。他の花火大会ではあまり見られない10尺玉の超大型の花火が標準となっているので、迫力が違います。
海外の方でもチケットが買いやすいように、英語など4か国語対応のチケット販売ページも用意されています。
イベント名 長岡まつり大花火大会
開催日 毎年:8月2日、3日
開催場所 新潟県長岡市長生橋下流の信濃川河川敷
開催時間 19時20分~21時10分ごろ
公式サイト
隅田川花火大会

隅田川花火大会は、その名の通り隅田川沿いで行われる花火大会です。
都心からのアクセスもよくスカイツリーや浅草などの観光地から近いこともあり、海外の方も多く参加されます。
もともとは「両国の川開き」という名前で行われていたこの花火大会、由来は先ほどご説明した通りですが、実は昭和36年(1961年)を最後に一度交通事情の悪化で開催が中断されていました。
昭和53年(1978年)に開催場所を移動・分散させ、「隅田川花火大会」と名称を改め復活し現在に至ります。
毎年テレビ中継が行われ、創作花火コンテストが開催されるなど全国的に有名な花火大会でありながらも、どこか下町風情が残るイベントとして多くの方に愛されています。
イベント名 隅田川花火大会
開催日 令和7年(2025年)7月26日(土)
開催場所 第一会場:各線浅草駅から徒歩15分、第二会場:各線浅草駅または都営地下鉄蔵前駅から徒歩5分
開催時間 19時~20時30分
公式サイト
大曲の花火

日本屈指の花火大会、「大曲の花火」は正式名称である「大曲の花火 全国花火競技大会」からも分かる通り国内外の花火の技術性などを競い合う競技大会としての側面も持ちます。
4月に春の章、8月末に全国花火競技大会、10月に秋の章と、季節ごとに大会が開催されるのも他の花火大会との違いです。
明治43年(1910年)に開催された「奥羽六県煙火共進会」を前身とし、これまでドイツやハンガリー、韓国など海外でも打ち上げを行い、国際的にも知名度の高い花火大会として知られています。
核となる夏の花火競技大会は、昼花火と夜花火に分かれ、多くの花火業者が技術や美しさを競い合います。
創造性が高く優秀と認められた花火師には内閣総理大臣賞が贈られます。
イベント名 大曲の花火
開催日 8月30日
開催場所 秋田県大仙市大曲雄物側河畔(大曲の花火公園)
開催時間 昼の部:17時10分~18時00分ごろ 夜の部:18時50分~21時30分ごろ
公式サイト
オーダーメイドの花火体験も人気

大規模な花火大会も人気ですが、場所取りや混雑をネックに感じる方も多いのではないでしょうか?
そんな時におすすめなのが、モテナス日本が提案するオーダーメイドの花火体験です。ご希望に沿ったオリジナルの体験をご提案させていただきます。
屋形船から花火大会を楽しむプラン
有名な花火大会を楽しみたいけど、混雑が気になる・・・。そんな場合もモテナス日本におまかせください!
たとえば、屋形船をレンタルしたり、会場外から花火を見やすいスポットにご案内して、ゆったりと花火大会を楽しめるオリジナルのプランの提供も可能です。
日本庭園で浴衣を着ながら手持ち花火を楽しむプラン
海外は日本ほど手持ち花火のバリエーションがなく、手持ち花火自体が禁止されているエリアも多いことは先ほどご説明した通りです。種類が豊富な日本の手持ち花火を、日本庭園で浴衣を着ながら楽しむというのも特別な花火体験として喜ばれるでしょう。
モテナス日本では、独自のプログラムで海外からのゲストへのおもてなしプランをオーダーメイドでご用意いたします。
花火体験だけでなく、観光や伝統芸能体験などさまざまなレクリエーションと組み合わせることも可能ですので、海外からの大切なゲストへのおもてなし、企業のチームビルディングやインセンティブ旅行などのプラン作成にお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
日本の花火文化で夏を彩ろう

日本や海外の花火文化については、文化や楽しみ方が大きく異なることが分かりました。
日本だと花火大会は慰霊や平和の意味を込めて夏に開催されることが多いですが、海外だと祝日や年末年始のお祭りごととして楽しむ例が多いようです。
また、手持ち花火は日本でも公園などでできる場所が減りつつありますが、海外では販売や使用に規制や罰則が設けられているなど比較にならないほど厳しいそうです。
あちこちで花火大会が開催され、バラエティ豊かな手持ち花火を手軽に楽しめるのは日本の夏の特色と言えそうですね。
これから迎える夏本番には日本の花火で海外からのゲストをおもてなしされてはいかがでしょうか?

大学卒業後ロイター・ジャパンでSEとして勤務、その後ロイター・シンガポールでシステムマネージャーとして5年間勤務した後、オランダのビジネススクールで経営学を学び、日立製作所に入社。日立では新事業開発を担当し、中国での新事業や新興国での投資スキームを推進。11年間勤務後モテナス日本のサービスを運営開始し「世界と日本をもっと近づける」をモットーとして、日本文化体験を外国人向けに提供している。