芸者遊びはお座敷で芸者さんとゲームをしたり会話をしたり、芸者さんの演奏や踊りを鑑賞する大人の遊びです。
ドラマや映画で芸者遊びをするシーンがありますが、実際に体験したことがない方も多いでしょう!今回は、芸者さんと楽しむお座敷遊びについて解説します。
芸者とはどんなひとたち?
芸者とは、日本のお座敷遊びで活躍する女性のことです。
お座敷遊びは、日本のおもてなし文化のひとつです。芸者はお酌や会話などの接客だけでなく、琴や舞踊などをお座敷で披露しておもてなしを行い、客人を楽しませて場を盛り上げるのが仕事です。
お座敷遊びは、古くからの日本における社交場であり、芸者は、優雅な立ち居振る舞いと芸で、お座敷の客人を楽しませてきました。
また、芸者である彼女たちは単に接待をする女性ではなく、楽器や踊りの長い修行を重ねているプロフェッショナルであり、日本の伝統芸能を受け継いで守っている職人でもあります。
芸者は接待のプロ
芸者の役割はお座敷で客人を心からもてなすことにあります。
芸者は、楽器や踊りなどの芸事においてもプロですが、客人とのコミュニケーションや細かい所作といった接待においても素晴らしい能力を持っています。
お酌をして楽しく会話をするのも芸者の役割のひとつです。一般人ではなかなかできない、気配りの行き届いた接待を行う訓練を受けています。
彼女たちは、お座敷では常に客人の雰囲気を読んでコミュニケーションを取り、目の前の客人だけでなく、お座敷全体への気配りを忘れません。
客人を楽しませつつ、リラックスできる充実した時間を提供するためにあらゆることを瞬時に察知する洞察力にも非常に長けています。
踊りや三味線でお座敷を盛り上げる
芸者は、会話やお酌だけでなく、踊りや三味線などの日本の伝統芸能を披露することで、お座敷を盛り上げて客人を楽しませます。
芸者が披露する伝統芸能は、余興ではなく修行で身につけた本格的なもので、踊りや和楽器の稽古を積んでいるその道のプロです。
踊りは、音楽に合わせた所作と表情で、日本の四季や自然、物語を表現するというものです。
また、三味線の伴奏に合わせて歌を唄うこともあります。特に外国人のお客様の場合は、目の前で日本の伝統芸能と美を感じることができる機会となります。
芸者の呼び方
芸者というのは一般的な呼称ですが、地域によって芸者の呼び方が異なります。
たとえば、京都では「芸妓(げいこ)」と呼ばれていますし、東京では「芸者(げいしゃ)」と呼ばれています。
そして、芸者の中でもまだ見習い修行中の若い女性のことを「舞妓(まいこ)」と呼びます。可愛らしいイメージがある舞妓さんは実はまだ修行中の身の芸者のたまごなのです。
舞妓さんは、華やかで色鮮やかな帯や装飾品を身につけることが特徴です。
芸者の役割
芸者の役割は、お座敷での接待や芸の披露で客人に楽しんでもらうことです。
そして、その役割には大きく分けて「立方(たちかた)」「地方(じかた)」「幇間(ほうかん)」の3つがあります。
立方
立方とは、芸者の中でも主に踊りを担当している芸者です。とても、華やかで伝統的な踊りを通じて客人を楽しませるのが仕事です。
立方は、舞台やお座敷で踊りを披露し、日本の伝統的な美を表現します。踊りでの着物の着こなしや表情の作り方、指先の細かな動作などにもすべて心を配っています。
お座敷で披露する踊りは、日本の伝統的なもので、何年にもわたる厳しい修行によって習得されています。目に見える美しさや優雅さで、場を盛り上げるという重要な役割を果たしています。
地方
地方は、音楽を担当する芸者です。演奏や歌のリズム、そして、踊り手や場の雰囲気に合わせた演奏をして、音楽でお座敷全体の楽しく明るい雰囲気を作り出します。
代表的なのは三味線ですが、お囃子という笛、小鼓、太鼓も使用します。
このような和楽器で奏でられる音楽は高い技術が必要な日本の伝統芸能のひとつで、和楽器にしかない雅な音はとても心地良く優雅です。
幇間
幇間は太鼓持ちのことです。以前は男性が務めていましたが、今では女性が幇間をすることもあります。幇間は太鼓持ちだけでなく、お座敷の雰囲気をつくる役割があります。
伝統的なお座敷遊びをリードしたり、お座敷が和やかな雰囲気になるように楽しませる存在です。
お座敷の盛り上げ役である幇間は、単なる道化役ではなく、客人の様子をうかがいつつ、笑いや会話をするという高いコミュニケーション能力が求められる役割です。
芸者を呼ぶのが初めてで緊張している客人も絶妙なトークでリラックスさせてくれます。
芸者と楽しむお座敷遊び
芸者と客人が一緒に楽しむゲームが「お座敷遊び」です。
日本の伝統的な宴会遊びは、客人と芸者が一緒に楽しむ体験型の遊びです。
おまわりさん
おまわりさんは、客人と芸者が太鼓の両側に立って太鼓を叩いて、ジャンケンをします。そして、負けた方が勢いよくぐるっと回るというとても簡単なゲームです。
一度ではなく何度も繰り返して行うゲームで、負けたら罰杯といってお酒を飲みます。ルールはとてもシンプルですが、お酒を飲んだ状態で回るため酔いが回りやすくなります。
金毘羅ふねふね
金毘羅ふねふねでは、まず、客人と芸者がテーブルを挟んで向かい合い、テーブルの上にはお茶碗などが伏せて置かれています。
香川県の民謡の「金比羅ふねふね」を唄いながら台の上のお椀に交互にパーを出していきます。パーを出すのではなく、お囃子のリズムに合わせて手を出していくのです。
自分が物を掴んで上に持ち上げた時、相手は物が置かれていない台の上に手を“グー(手を握る)“にして乗せます。
そして、どんどんテンポが速くなり間違ったほうが負けとなります。テンポが速くなれば難易度があがるためずっと終わらないということはありません。
金毘羅ふねふねは、リズム感が重要なゲームで、楽器のお稽古で鍛えられている芸者さんとの勝負はとてもスリリングで楽しい体験となります。
虎拳(とらけん)
虎拳は客人と芸者が身体を使ってジャンケンをするというものです。
ふすまなどでお互いの姿が見えないようにして、唄を唄いながらジェスチャーでジャンケンをします。ジェスチャーは「虎」「猟師」「おばあさん」で、虎はおばあさんに勝ち、おばあさんは漁師に勝ち、そして、猟師は虎に勝ちます。
このジェスチャーをおぼえてしまえば、誰でも楽しめるゲームです。
とらとらは、近松門左衛門の浄瑠璃から生まれたお座敷遊びで、とらとらの歌詞を覚えるとより楽しむ事ができるゲームです。
陣取り
陣取りは座布団を使って複数人で楽しむゲームです。客人と芸者が音楽に合わせて座布団の回りをぐるぐると回って、音楽が止まったら座布団に座るというルール。
椅子取りゲームの座布団バージョンといってもよさそうです。そして、座布団に座れなかったら退場となり、どんどん座布団の数が減らされていきます。
そして最後は、参加者全員で円になって踊るというもの。この時の踊りは芸者さんが教えてくれますよ。
おひらきさん
おひらきさんは、客人と芸者がジャンケンをして負けた方が少しずつ足を開くというものです。客人と芸者が向かい合って立ちます。そして、ジャンケンをするのです。
負けたほうが少しずつ足を開いていくのです。それを繰り返して、最初に転んだ方が負けとなります。ジャンケンの強さだけでなく、バランス感覚が重要なゲームです。
粋な大人の芸者遊びのマナー
芸者遊びは粋な大人の世界ですので、当然、守らなくてはならないマナーが存在します。決められたマナーを守ることで、お座敷の雰囲気を楽しみつつ、芸者との時間を充実したものにすることができます。
踊りや演奏が始まったら静かに聞く
お座敷では、芸者が踊りや三味線などの演奏を披露する場面があります。そのときは、必ず静かに耳を傾け、披露される演技に集中することが求められます。
芸者が芸を披露しているときには食事はせずに注目して鑑賞するのがマナーです。
芸者がお座敷で披露する芸は、単なる余興ではなく何世代にもわたって受け継がれてきた伝統芸能で長い稽古を重ねて習得したものですから、披露される芸をしっかりと堪能することがマナーです。
食事ではなくお酒をすすめる
芸者はお座敷で食事は口にしません。ですので、食事をすすめるのはマナー違反です。
ですが、お酒は飲めるため、芸者に何かすすめるのであれば、食べ物ではなくお酒にしましょう。客が芸者さんにお酌をしても大丈夫ですよ。
芸者との会話を楽しみながらお酒を交わすこともお座敷遊びの楽しみのひとつです。彼女達はコミュニケーション能力も一流ですので、会話を気軽に楽しみつつお酒を味わうことができます。
お座敷遊びの時の服装
お座敷遊びに参加する際には、服装にも注意が必要です。普段着などではなく、それなりの服装をするのが大人のたしなみです。
お座敷遊びのときの服装のマナーを解説します。
綺麗な靴下を履く
お座敷ではスリッパなどを脱いで畳の上に上がることになりますので、靴下の清潔さはとても大切です。
綺麗で清潔な靴下を履くのは最低限のマナーです。
間違っても裸足で上がることは許されませんし、穴があいた靴下や、汚れてた靴下もNGです。
普段着より少しよい服を
お座敷では客人であっても、マナーは大切です。
少なくともヨレヨレのTシャツに半パンのような部屋着で行くような場所ではありませんし、スエットやジーンズなどのカジュアルすぎる服装も避けてください。
お座敷遊びができる料亭は、居酒屋とは一線を画す場所です。お座敷遊びは日常から離れた特別な場所ですので、少し上品な服装がいいでしょう。
カジュアルなビジネススタイルを選んだり、ちょっとしたドレスアップをして参加するのが粋です。
普段着より少し良い服装で、肌の露出が少ないものがおすすめです。もちろん、客人が和服を着用しても問題ありません。和服でお座敷に上がることで、芸者と和服のお話ができるかもしれません。
芸者さんにお酌してもらってOK
芸者はお座敷で客人にお酌をします。これは、芸者のおもてなしのひとつですので、遠慮することなくお酌をしてもらって構いません。
お酌は、芸者と客人との距離を縮めるためのコミュニケーションのひとつです。客人は、芸者からお酌を受けることも礼儀のひとつ…。
お酌をしてもらって会話を楽しみお酒を飲みながら楽しいひと時を共有するのがお座敷遊びのたしなみです。
芸者さんは「おねえさん」
すべての芸者さんは何歳であっても「おねえさん」と呼ぶのが礼儀です。芸者さんは様々な年代の方がいらっしゃいます。芸者の世界には定年はなく、むしろベテランになり芸の練度が上がることでより活躍されている方もいらっしゃるのです。
仮にご自身の母親より年上に見える方であっても、かならず「おねえさん」と呼びます。決して「お母さん」や「おばさん」「おばあさん」などの呼称を使用してはいけません。
すべての芸者を「おねえさん」と呼ぶのが大人の心意気なのです。
もちろん、芸名(源氏名ではありません)をお聞きしてお名前で呼ぶのはマナー違反ではありません。○○さんや○○おねえさんと呼ぶことで、芸者との距離を縮めることができます。
セクハラは絶対に厳禁
芸者は接待のプロであって、お座敷を盛り上げるのが仕事です。遊女ではありませんし、セクハラは絶対してはいけません。お座敷遊びは粋な大人のたしなみであり、マナーが大切です。
お酒の勢いでついセクハラをしてしまった…ということがないように注意してください。
芸者とのお座敷遊びの料金は
最後に、芸者とのお座敷遊びの料金についてお話ししていきます。
一度は体験してみたいお座敷遊びですが、やはり料金についてもあらかじめ知っておきたいですよね。
芸者さんの料金を「花代」という
芸者をお座敷に呼んで接待してもらう料金のことを「お花代」といいます。「花」とは、華やかな衣装で芸を披露する芸者の象徴でもあります。
このお花代は彼女たちの時間とその技術、接待の対価となります。芸者の人数や時間、地域によって異なりますが、基本的には一人あたりの料金で設定されています。
料金に関してはあらかじめ問い合わせておくことをおすすめします。
お花代は一人3~4万円
一般的なお花代の相場ですが、芸者一人あたり約3~4万円とされています。
もちろん、お店や地域によって差があります。
この料金は、芸者に踊りや唄、三味線などを披露して貰う代金、さきほど紹介したゲーム、そして、お酌などの会話で客を楽しませる時間が含まれます。
通常、お座敷で芸者から接待を受ける時間は1~2時間ほどですが、延長することができるケースもあります。
さらに、芸者の中でも特に技能が優れているベテランの芸者や、有名な芸者を招きたいという場合は、料金がさらに高くなることもあります。
まとめ
芸者と楽しむお座敷遊びは、日本の伝統文化に直接触れることができる特別な場所です。
粋な大人の遊びであるため、客人も常にマナーを守ることが求められます。お座敷遊びでは、静かに芸を鑑賞し、お酒を楽しみながら、芸者と交流することがポイントです。
また、服装にも気を配り、清潔で品のある装いを心がけることで、大人としての振る舞いを大切にしましょう。料金については、芸者のサービスに対しての「花代」というシステムがあります。
お花代は1人あたり3~4万円が相場ですが、地域やお店によって異なります。
芸者遊びは、日本の伝統文化を堪能する貴重な機会であり、その芸やおもてなしを通じて、特別な時間を過ごすとても贅沢な時間です。正しいマナーと適切な準備をして、心から楽しむことができる粋な大人の遊びを体験してみてください。
モテナス日本では、芸者を呼んだイベントの企画や立案も承っております。伝統文化で外国人をもてなしたいという方は是非一度ご相談ください!
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カメラとピアノが趣味のライターです。某有名バンドの大ファンで遠征がてら観光するのが好き…地方の工芸品や歴史にも興味があります。
自宅ではゴールデンレトリバーとインコ、猫に囲まれてコーヒーを片手に執筆しています。様々な角度から日本の魅力をお伝えします。