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2026年のラマダンは、2月17日~3月19日の1か月間となる見込みです。
日本で「ラマダン」という言葉を聞くと、「断食」という印象を持たれることが多いかもしれません。けれど実際には、ラマダンは食事を控える期間というより、生活のリズムや心の向き合い方を静かに整えていく期間です。
仕事や移動を続けながら、食事や礼拝の時間を軸に1日を過ごす。その過ごし方は人それぞれで、決まった形があるわけではありません。ただ、いつもと少し違う時間を過ごしているということを知っているだけでも、お互いに無理のない関わり方がしやすくなります。
日本ではあまり知られていないラマダンですが、背景を少し理解しておくことで、来日や滞在の場面でも、無理のない気遣いが自然に生まれてくるでしょう。
日本ではあまり知られていない「ラマダン」について

ラマダンは、イスラム教徒にとって1年の中でも特に大切にされている期間です。この期間、日の出から日没まで断食を行い、心と体の在り方を見つめ直しながら日々を過ごします。
断食という言葉から「食事を取らない月」という印象を持たれがちですが、全く食事をとらないわけではありません。食事の時間帯が変わり、礼拝を軸に1日の流れが組み立てられる、生活リズム全体が大きく切り替わる月が、ラマダンです。
またラマダンは、特別な行事として日常から切り離されるものではなく、仕事や家庭生活を続けながら静かに向き合う時間として捉えられています。断食とともに、節度や感謝の気持ちを大切にすることが、この期間の過ごし方として大切にされています。
日本では詳しく知られる機会が少ないラマダンですが、断食だけでなく、生活のリズムや価値観そのものが変わる期間であることを押さえておくと、ラマダンをより身近に感じられるようになります。
ラマダン期間中の仕事・出張・移動について

ラマダン期間中であっても、すべての人が仕事や移動を控えられるわけではありません。業務上の都合やスケジュールの関係から、ラマダンの時期に出張や海外移動を行うイスラム教徒の方もいます。
日本企業が関わる場面では、インセンティブ旅行や研修、商談などを理由に来日するケースも見られます。本人の意思だけで日程を調整できないことも多く、ラマダン期間中であっても通常どおり仕事に向き合っている方が少なくありません。
そのため、ラマダン期間中の来日や滞在は、特別な例というより、普段とは少し条件が異なる中で仕事や移動を行っている状態と捉えると理解しやすくなります。
お迎えする側は、ラマダンについて少し意識を向けるだけでも、相手にとって安心感をあたえることができるでしょう。無理のないスケジュール設計は、信頼関係を築くうえでも大切なポイントです。
- 体力的に負担がかかりやすい時間帯
- 食事や礼拝のタイミング
ラマダン期間中の1日の流れと生活リズム

ラマダン期間中は、断食だけでなく、1日の過ごし方そのものが大きく変わります。日本滞在中であっても、基本となる時間の考え方は共通しており、1日の流れを全体的に理解しておくことが、相互の安心につながります。
まずは、ラマダン期間中の1日の流れを、時間の移り変わりに沿って見ていきましょう。
1日の基本的な流れ
食事の時間帯が早朝と日没後に集中するため、日中の過ごし方や体力の使い方は、普段とは異なるペースになることが多く見受けられます。
日本滞在中は、時差や日の出・日没の時刻の違いによって、普段以上に生活リズムの調整が難しくなることもあります。特に夕方以降は、長時間の断食による疲労が出やすく、集中力が落ちる方も少なくありません。予定を詰め込みすぎず、余白を持たせたスケジュールが安心につながります。
- 日の出前に食事をとり、1日が始まる
- 日中は断食と礼拝を中心に過ごす
- 日没後に断食を終え、1日の区切りを迎える
礼拝を軸にした生活リズム
ラマダン期間中も、イスラム教徒にとって1日5回の礼拝は生活の基準となります。礼拝の時間帯を意識しながら、1日の予定が組み立てられることが多いです。
ポイントを意識することで、無理のないスケジュールを考えやすくなります。
- 礼拝の時間を把握しておく
- 静かに過ごせる時間や場所を想定しておく
このように、ラマダン期間中は「断食」だけでなく、時間の感覚や1日の区切り方そのものが異なることを理解しておくことが大切です。
ラマダン期間中の食事と過ごし方
ラマダン期間中は、食事の時間や内容が大きく変わります。断食と聞くと制限の多い印象を持たれがちですが、実際には決められた時間の中で、心と体を整えながら食事をとることが大切にされています。
ここでは、日本滞在中にも関わりやすい、ラマダン期間中の食事と過ごし方を紹介します。
日の出前の食事(スフール・セヘリ)

スフールは、1日の断食に備えるための大切な食事です。日の出前という限られた時間にとるため、単に空腹を満たすためではなく、その日を無理なく過ごすための準備の時間として位置づけられています。
スフールでは、日中の活動に支障が出にくいよう、水分や栄養を意識しながら食事をとる方が多く、内容や量は人それぞれです。
出張や移動を伴う滞在では、スフールを十分に取れない日が出てくることもあります。そのため、前日の夜に軽く準備できる環境があるだけでも、安心して翌日を迎えやすくなります。
日本滞在中は早朝に外食できる場所が限られるため、あらかじめ軽食を用意できる環境があるだけでも、選択肢があることが助けになる場面も少なくありません。特別な料理である必要はなく、食事の選択肢があるということ自体が、嬉しい心配りとして受け取られることもあります。
※国によって、「スフール」や「セヘリ」など呼び方が異なる場合があります。
日没後の食事(イフタール)

イフタールは、日の出から続いていた断食を終える、1日の中でも特に大切な時間です。日没を合図に食事をとり、心身をゆるやかに休める時間として大事にされています。
多くの国や地域では、イフタールは家族や仲間とともに過ごす時間です。しっかりとした食事の時間であり、「1日を無事に過ごせたこと」や「食べ物があること」への深い感謝を捧げる時間でもあります。長時間の断食を終えた後だからこそ、料理の内容以上に、落ち着いて食事ができる環境が重視される傾向があります。
日本滞在中であっても、日没後に慌てず食事ができる時間が確保されていると、1日の緊張がほどけ、穏やかな時間を過ごしやすくなるでしょう。
一口目にデーツを食べる習慣

イフタールの際、一口目としてデーツを食べる習慣は、「信仰的な理由」と「身体への配慮」から、多くの国で親しまれています。必須ではありませんが、ラマダンを象徴する過ごし方のひとつとして広く知られています。
そのため、デーツが用意されていると、自分の文化を理解しようとしてくれていると感じ、気持ちが和らぐ方もいます。小さなことではありますが、相手に寄り添う姿勢が自然に伝わる配慮と言えるでしょう。
国や地域による食事の違い

ラマダン期間中の食事内容は、国や地域、家庭の習慣によってさまざまです。揚げ物が多い国もあれば、比較的軽めの食事を中心とする地域もあります。
また、同じ文化圏であっても、体調や年齢、仕事の状況によって過ごし方は異なります。特定の形式に当てはめるのではなく、一人ひとり違うことを前提に考える姿勢が、安心感につながります。
ハラールという考え方と、食事における基準

ラマダン期間中の食事を考えるうえで、あわせて知っておきたいのがハラールという考え方です。ハラールとは、イスラム教の教えに基づき、安心して口にできるものの基準を指します。
食事に関しては、使用されている食材だけでなく、調理方法や調味料、調理環境まで含めて判断されることが多くあります。そのため、日本では一般的な料理であっても、イスラム教徒の方にとっては判断に迷う場面が生じることがあります。
たとえば、アルコールを含む調味料や、肉類に使用したのと同じ調理器具を使っていないかどうかなど、日本では意識されにくい点が判断材料になることもあります。そのため、分からない場合に無理に勧めないということが大切です。
日本滞在中は、原材料や調理内容が分かりにくいこともあり、不安を感じやすくなるケースも少なくありません。お迎えする側としては、すべてを理解する必要はありませんが、ハラールという基準があることを知っておくだけでも、相手の不安を和らげることにつながります。
無理に勧めたり決めつけたりせず、選べる余地を残しておくことが、落ち着いて食事を選べる環境をつくります。
イスラム教徒がタブーとしている主なもの(ハラールの観点)
| 分類 | タブーとされるもの | 補足・注意点 |
|---|---|---|
| 肉類 | 豚肉および豚由来の成分 | ハム、ベーコン、ラード、ゼラチン(豚由来)も含まれる |
| 肉類 | 適切な方法で処理されていない肉 | ハラール方式で屠畜されていない牛・鶏・羊など |
| アルコール | 酒類全般 | ビール、ワイン、日本酒、焼酎など |
| 調味料 | アルコールを含む調味料 | みりん、料理酒、ワインビネガーなど |
| 加工食品 | 原材料が不明な加工品 | ゼラチン、乳化剤、香料など由来が不明な場合 |
| 調理環境 | 非ハラール食材との混用 | 同じ調理器具・油・まな板の使用も避けたい場合がある |
| 菓子類 | アルコール入り菓子 | 洋酒入りチョコレート、ラムレーズンなど |
| 飲料 | 微量でもアルコールを含む飲料 | 発酵飲料、ノンアルコール表記でも注意が必要な場合あり |
上記は一般的な基準であり、判断の厳しさには個人差があります。分からない場合は無理に勧めず、確認できるようにしておきましょう。
ラマダン期間に安心して利用できるイスラム圏レストラン

ラマダン期間中の日本滞在では、安心して食事ができる場所を知っているかどうかが、心の落ち着きに大きく関わってきます。特に断食明けのイフタールは、慣れ親しんだ食事や、文化的な配慮が感じられる環境で迎えられるかどうかが大切にされる時間です。
日本国内には、東京だけでなく、大阪や名古屋、福岡などの主要都市を中心に、ハラール認定を受けたレストランが点在しています。ラマダン期間中には、イフタールの時間帯を意識した対応を行っている店舗もあり、日本にいながら自国の味や文化に触れられることは、精神的な安心感にもつながります。
ここでは、その一例として、比較的情報を得やすく、利用者の多い店舗をいくつか紹介します。
マルハバ ハラールレストラン(東京)
日本におけるハラールレストランの先駆けとして、1990年にオープンしました。中東料理を中心に提供しており、ハラール認定を受けた食材を使用しています。ラマダン期間中には、断食明けの時間帯に合わせて来店する利用者も多く、落ち着いた雰囲気の中で食事ができる点が特徴です。
住所:東京都豊島区池袋2丁目63-6 パレスガーデンミラノ
電話番号:03-3987-1031
公式Facebook
アル・ミーナ(東京)
東京で初めてのアラビアンレストランで、ハラール対応のメニューを用意しています。パレスチナ人シェフの作る、ユニークでモダンなアラブ料理は、日本にいながら、馴染みのある味に触れられるとても人気です。ラマダン期間中にも利用しやすい店舗として知られています。
住所:東京都千代田区神田多町2丁目2-3 ゲンキビル B1F
電話番号:03-3526-2489
公式サイト
アリーズキッチン(大阪)
パキスタン料理を中心としたミシュランガイドにも掲載されたことのある、ハラール認定レストランで、関西エリアを訪れるイスラム教徒の方にも利用されています。家族連れやグループでの食事にも向いており、イフタールの時間帯にも落ち着いて過ごしやすい環境が整っています。
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目10-12
電話番号:06-4708-5745
公式サイト
※各店舗の営業時間やラマダン期間中の対応は変更される場合があるため、事前のご確認をおすすめします。
イスラム教徒の心の拠り所、東京ジャーミィ

東京ジャーミィは、都内で最大規模のモスクとして知られており、礼拝や見学が可能な宗教施設です。ラマダン期間中にはイフタールが提供され、多くのイスラム教徒が集まる場所となりますが、ここは食事の場である以前に、日々の礼拝や学び、交流の拠点として大切にされている場所でもあります。
館内では、礼拝堂のほかにイスラム文化を紹介するスペースもあり、日本にいながら自分の信仰や文化に自然に触れられる環境が整っています。ラマダン期間以外でも、礼拝や静かな時間を過ごすために訪れる人が多く、イスラム教徒の日常に自然に溶け込んでいます。
ラマダン期間中には、予約制でイスラム教徒以外の方も1度だけイフタールの食事会に参加することが可能です。一方で、東京ジャーミィは本来、イスラム教徒のための宗教施設なので、見学の際には礼拝の時間帯や服装、施設内でのマナーに配慮することが大切です。
日本滞在中に、自分の信仰や文化に自然に触れられる場所があることは、心を落ち着ける拠り所になります。
住所:東京都渋谷区大山町1-19
アクセス:小田急線代々木上原駅より徒歩5分
開館日:年中無休
開館時間:10:00〜18:00 (金曜のみ信者以外の方は14:30〜18:00)
公式サイト
※礼拝所は神聖な場所です。女性はスカーフの着用、また露出の少ない服装で訪れましょう。
ラマダン期間中の日本旅行で、知っておくと安心なこと

ラマダン期間中の日本旅行では、すべてを正しく理解したり、完璧に対応したりする必要はありません。「少し気にかけている」という姿勢だけでも、相手には十分に伝わります。
ラマダンの過ごし方や生活リズムには個人差があり、同じ答えがあるわけではありません。だからこそ、決めつけず、相手に聞いたり、一緒に考えたりすることが、信頼や安心感を育てるポイントです。
お迎えする側が無理をする必要はありませんが、選べるようにしておくこと、相談できる雰囲気があることは、相手にとって大きな支えになります。
ラマダン期間中の日本旅行は、いつもと少し違う配慮が求められる時期ではありますが、構えすぎる必要はありません。お互いの違いを前提に、静かに寄り添うことで、落ち着いた滞在につながっていきます。
モテナス日本が考える、ラマダン期間のおもてなし

ラマダン期間中の日本滞在では、特別な演出や過剰な配慮が求められているわけではありません。大切なのは、相手の背景や過ごし方をふまえたうえで、無理のない形を一緒に考える姿勢です。
モテナス日本では、ラマダン期間中に合わせたおもてなしも大切にしています。国や目的、滞在の背景に合わせて、移動の負担や食事、礼拝のタイミングなどを考慮したスケジュールを組むことが可能です。
- 体力的な負担が出にくい時間帯を意識した予定づくり
- ハラールや食事時間に配慮した会食や場所の選択
- 礼拝や休息の時間を無理なく組み込める流れ
ラマダン期間の過ごし方は、人によって大きく異なります。だからこそ、ひとつの正解に当てはめるのではなく、その方にとって安心できる形を探すことを重視しています。
ラマダン期間中の日本滞在が、「気を張らずに過ごせた」「理解してもらえていると感じられた」そんな時間になるように。モテナス日本では、一人ひとりの状況に寄り添いながら、ラマダン期間中の滞在が安心できるものになるよう、オーダーメイドのおもてなしをお手伝いしています。

旅をこよなく愛するWebライター。アジアを中心に16の国にお邪魔しました(今後も更新予定)。
ワーホリを機にニュージーランドに数年滞在。帰国後は日本の魅力にとりつかれ、各地のホテルで勤務。
日本滞在が、より豊かで思い出深いものになるように、旅好きならではの視点で心を込めてお届けします!




