歌舞伎と能の違いを解説!ルーツを知って伝統文化を理解する

 

モテナス代表
モテナス代表

日本の伝統文化である「歌舞伎」と「能」には大きな違いや、共通点があります。

この記事では、日本人なら知っておきたい歌舞伎と能の違いについて詳しく解説しています。
2つの伝統文化の違いを理解できて、友人や外国人に聞かれたときに、すぐ答えられるようになりますよ。

 

歌舞伎と能のルーツや豆知識についても解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

歌舞伎と能の違い

歌舞伎と能は似ている伝統文化だと思われがちですが、そこには明確な違いがあります。

大きな違いとして、歌舞伎は「時代とともに変化する」のに対して、能は「さまざまな要素を削ぎ落とした完成形」であることが挙げられます。

なぜ明確な違いが生まれたのかは、ルーツを知ることでより深く理解できます。続いては歌舞伎と能のルーツについて解説していきます。

歌舞伎のルーツ

歌舞伎のルーツは、慶長8年(1603年)に出雲の阿国という人物が始めた「かぶき踊り」とされています。

歌舞伎は現在に至るまで「奇妙な身なりや行動をする」という意味の「かぶく」を語源として、多くの人たちに愛され、楽しませてきました。

このかぶくという「奇妙な身なりや行動」は時代とともに変化します。ファッションや、流行が時代によって変わるのと同じように、歌舞伎も日々変化していくのです。

たとえば最近では、バーチャルアイドル「初音ミク」が登場する演目や、人気漫画「ONE PIECE」を題材としたスーパー歌舞伎なども公演され、舞台の演出や、内容も常に最新にアップデートされています。

歌舞伎は、「かぶく」という言葉に則って、時代やその流れに逆らわず、常に変化していく伝統文化なのです。

歌舞伎についてこちらの記事も参考にどうぞ

能のルーツ

能のルーツは、8世紀(西暦701年〜800年)に中国大陸から渡来した「散楽(さんがく)」であるとされています。「散」には、正式ではない、雑多なという意味があり、人形劇やマジックなどの多種多様な芸能が含まれていました。

しかしその散楽も、平安期に入ると都市文化や宮廷文化の影響を受けて変質を遂げます。

散楽の看板芸であったアクロバットやマジックに代わり、観客の笑いを誘う寸劇が人々の人気を集めるようになります。その結果、仮面をつけた仮面芸能が誕生し、歌や舞が融合して新たな芸能である「能」を作り上げたのです。

能は時々の権力者に愛され、豊臣秀吉や、江戸幕府五代将軍・徳川綱吉も自ら舞台に立ち、舞ったことがありました。

将軍の住まいである江戸城には、記念式典や町民たちも楽しむために能舞台が設けられていたそうです。

能のルーツは中国ですが、現代に受け継がれるまでに多くの影響を受け、余分なものを削ぎ落として、現在の完成形になったのです。

ちなみに、能は世界で最も古い芸能の一つで、世界無形文化遺産にも登録されている、伝統的な文化なのです。

能についてはこちらの記事も参考にしてください。

歌舞伎と能の共通点

歌舞伎と能には、違いだけではなく共通点もあります。それはどちらも舞台に上がれるのは原則、男性だけであるということ。

その背景はそれぞれ異なり、歌舞伎を始めた出雲の阿国という人物は女性で、「かぶき踊り」が流行してからしばらくは、阿国を真似た「女歌舞伎」が流行しました。

そののち、風俗を乱すとして当時の幕府による厳令で、少年による「若衆(わかしゅ)歌舞伎」に替わりますが、またまた幕府の取り締まりを受けて、男性だけが演じる「野郎(やろう)歌舞伎」へと変化して今日に至るとされています。

ちなみに、この出雲の阿国が歌舞伎を初めて演じたのは、能舞台で能の楽器を用いていたという風俗画が国宝として今も残されています。歌舞伎のルーツには能も関わっていたのです。

能については、神仏への祈願にあたり、清浄性を守り禁忌の遵守が求められたことにより、「女人禁制」とされてきました。しかし、現在では女性の能楽師も誕生しており、この限りは時代とともに変化してきています。

また、その舞台構造も似ており、歌舞伎では「花道」、能では「橋掛かり」といい、主役が出入りする道があることも一つの共通点です。

 

歌舞伎と能の違い一覧

ざっくりと歌舞伎と能の違いについて解説しましたが、分かりづらい点もあるかもしれません。ここでは歌舞伎と能の違いを一覧にしたので、参考にしてみてください。

 

歌舞伎

渡来した時代

奈良時代

江戸時代

外見

能面を着用

隈取り

奇抜な衣装

テーマ

古典文学

歴史上の人物の悲劇を描く

武将の武勇伝

庶民の恋愛など

演出

謡と囃子に合わせた舞

大掛かりな舞台装置

現代風の表現

悲劇のミュージカル

エンターテインメント

 

能と歌舞伎はルーツやその時期、内容などが異なるのがおわかりいただけるかと思います。

共通点もありますが、描くテーマや演出方法が異なっているので、人に説明するときは違いに着目して説明すると分かりやすいでしょう。

歌舞伎の豆知識

歌舞伎を鑑賞する前に、事前に知っておきたい豆知識を紹介します。衣装や舞台、その演目の背景まで知っておくことで、より歌舞伎を楽しめますよ。

歌舞伎の衣装

江戸時代に始まった歌舞伎の衣装は、主に「着物」が使われています。ド派手な着物以外にも、浴衣や半纏(はんてん)など、庶民が着用する着物も使われているのがポイントです。

また、当時の文化にもとづいたリアルなストーリーを演じる場合や、幻想的な踊りを表現する場合に使われる衣装が異なることもあり、衣装は鑑賞する際には注目したいポイントの一つです。

隈取

歌舞伎において、衣装と並ぶ特徴と言えるのが顔に施すメイク「隈取」です。

隈取は、役柄の感情や表情を強調する役割があるのが特徴で、赤い隈取は勇気や正義、青い隈取は冷酷さや悪を表現しています。

また、妖怪や鬼などの空想の存在には、茶色の隈取が使用されます。

独特のメイクである隈取にも意味があるので、衣装とともに注目すると、より歌舞伎を楽しめます。

隈取のリンク

歌舞伎の演目

現在歌舞伎として上演されている演目は、300本以上あるとされていて、その内容や成り立ちからいくつかの種類に分けることができます。

町人から見た遠い世界の武家や公家で起きた事件を演じる「時代物」、町人により身近な世界を描いた「世話物」、舞踊劇である「所作事(しょさごと)」の3つに分類されます。

また、演目ができるまでの成り立ちや時期からも3つに分けられます。

人形浄瑠璃の脚本を歌舞伎に移植した「義太夫狂言」、歌舞伎として上演することを目的に描かれた「純歌舞伎」、明治時代半ば以降に歌舞伎とは無縁の人によって描かれた「新歌舞伎」の3つも演目の分類です。

鑑賞する際には、上演内容がどの分類に属しているか知っておくと、より深く歌舞伎を楽しめるでしょう。

能の豆知識

能についても、鑑賞前に知っておきたい豆知識があります。豆知識として3つ解説します。

能から生まれた言葉・ワキ

能では主役のことを「シテ」と呼び、その相手役のことを「ワキ」と呼びますが、ドラマや映画でよく言われる脇役というのは、能の「ワキ」から来ているのです。

ドラマを見ていると、「またこの人出てる」ということがありますが、能においても能楽堂で見た役者が、他の能楽堂で舞台に立っているということもよくあることなのです。

能を手本にした礼儀作法

茶道の礼儀作法に、能を手本にした動作があります。

能の基本動作の一つに、中腰で体の重心を低くし、かかとを浮かせないようにつま先を上げて歩く「運び」というものがあります。

これはシテのつけた面が、歩いてブレないために、相撲や柔道、剣道などでも見られる「すり足」が採用されたものです。

このすり足は、着物で移動する際に実に合理的で美しいとされ、茶道の礼儀作法にも取り入れられています。伝統芸能である能と、茶道にも相関関係があるというのが意外ですよね。

別世界との架け橋「橋がかり」

能舞台には、楽屋でもある「鏡の間」との間に「橋がかり」という橋がかかっています。この橋がかりは、本舞台の延長としても使われることがあり、橋がかりの上でも演技が行われます。

能楽師が、人間世界である鏡の間から別世界にある「本舞台」へ歩む橋がかりは、あの世とこの世の架け橋とも言われています。

主に死者の世界や、死者の無念を演じる能においては橋がかりは非常に重要な役割を果たしているのです。

歌舞伎と能においての発声の共通点

歌舞伎と能では、独特なセリフまわしがあり、何を言っているか分からないという人もいるのではないでしょうか。

昔の日本人の発音が独特だったわけではなく、舞台が屋外にあったことが理由です。

当時はマイクなどの音響設備もないため、遠くまでセリフを届かせるために、独特なセリフの言い回しになったとされているのです。

歌の発声法とも似ており、オペラも昔は屋外で行われていたため独特の歌い方が定着したとされています。昔の状況を知ると、現在の歌舞伎や能をより深く楽しめますね。

まとめ

この記事では、歌舞伎と能の違いや共通点などについて解説してきました。

歌舞伎は常に進化しているものですが、能は極限まで不要な表現を削り、完成した形を今でも守り続けています。

どちらも、日本が誇る伝統芸能なので、これらの違いを知って、人に説明できるようになっておくと良いでしょう。

モテナス日本では、日本の伝統文化についてのアンケートも実施しました。伝統文化をより知りたいという方はこちらの記事も参考にしてみてください。