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日本を感じる「和」な音質と力強くダイナミックな演奏が特徴の【津軽三味線】。
実は津軽三味線は、世界でも人気な音楽であることを知っていますか?
また津軽三味線は伝統芸能の中では歴史が短く、生まれてからわずか150年ほど。
その短い歴史の中で海外進出まで成し遂げました。
今回は、そんな日本人が誇るべき伝統芸能【津軽三味線】の歴史を徹底解説していきます。
「外国人の方の接待に津軽三味線を考えている」「深い話ができる知識をつけたい」という方は、ぜひ読んでみてください。
そもそも三味線のルーツって?
津軽三味線の歴史をたどる前に、まずは「三味線」の歴史をみていきましょう。
三味線の源流は中国の「三弦」
三味線は、中国にある楽器「三弦(サンシエン)」がルーツだとされています。
現代の中国でも三弦は使われており、3本の弦を弾いて演奏します。
【3本の弦】という点は、三味線とまったく同じですね。
音は三味線と非常に似ていますが、三味線のように主役として演奏されるわけではなく、語りや伝統劇の【伴奏】として使われることが多いです。
津軽三味線と三味線との違いは?
三味線が誕生したのちに【津軽三味線】というジャンルが確立するわけですが「そもそも津軽三味線と三味線の違いって?」という疑問が出てきますよね。
三味線とは、革を張った胴体に3本の弦を張った楽器です。
津軽三味線も同じ構造をした楽器ですが、通常の三味線より大きいことが見た目の違いといえるでしょう。
大きく厚みのある構造のおかげで、津軽三味線は力強い音を出すことができるのです。
さらに、以下のような演奏方法の違いもあります。
「津軽三味線の演奏の特徴は、バチを激しく叩き付けるように弾き、かつ速弾きするというものです。」
引用元:「津軽三味線と他の三味線の違い (xn--ehq39m2tg8xkcyjjizlt0a.jp)」
通常の三味線は繊細で優雅な演奏スタイルが多いのですが、津軽三味線は【叩くような演奏手法】と【メロディの速さ】が特徴的です。
また、津軽三味線には楽譜がありません。
即興での演奏や師匠の演奏を覚えて演奏するというスタイルが主流で、この点も通常の三味線との違いといえます。
戦国時代~江戸時代|三味線の誕生と流行
三味線は、戦国時代~江戸時代にかけて流行したと伝えられています。
ここからは三味線がどのように大衆へ浸透し、流行していったのかをみていきましょう。
日本独自の「三味線」ができあがる
すでに解説したとおり、三味線の源流は中国の「三弦(サンシエン)」です。
この三弦が日本独自の三味線へと変化したのが、戦国時代の頃だとされています。
中国生まれの三弦は貿易によって琉球王国(今の沖縄県)に伝わり「三線(さんしん)」という楽器に変わりました。
三線は現代でも沖縄を中心に演奏されている楽器で、三味線と同じく3本の弦が張られた楽器です。
もともとは宮廷の行事などで使われており、次第に日本本土へも伝わり、大きさや材質などが改良されて三味線へ進化したと伝えられています。
つまり「三弦(中国)」→「三線(沖縄)」→「三味線(日本本島)」という風に伝わり変化し、現代に伝わる三味線ができあがりました。
三味線を生業とする集団が誕生
江戸時代になると、三味線を職業とする集団が目立ち始めます。
それも、目の不自由な男性や女性による三味線の団体が多かったようです。
彼らは三味線を片手に旅をしながら、全国各地で三味線の演奏と歌を披露していたといいます。
こういった三味線集団は幕府公認であり、目の不自由な人の働き口をつくるという役割がありました。
また、江戸時代には「三味線ができる=異性にモテる」というイメージもあったようです。
大衆の嗜みとしても職業としても、三味線演奏は日本全国へ広まっていきます。
歌舞伎の伴奏としても活躍
三味線は、歌舞伎の伴奏としても活躍します。
歌舞伎は江戸時代に大衆から人気が高かった娯楽ですが、伴奏として三味線が使われることも多くありました。
現代で例えるなら「ドラマ・映画の挿入歌のような立ち位置」と考えると分かりやすいでしょう。
多くの人々が観劇する歌舞伎に伴奏として入ることで、三味線は日本人の心にしみる音として浸透していきます。
こうして日本全国に三味線が広まっていく中で、現代に伝わる「津軽三味線」も生まれることとなるのです。
明治時代|津軽三味線が生まれる
三味線が生まれてから300年ほど経った明治時代に、津軽三味線は生まれました。
津軽三味線だけの歴史はたった150年あまりと、意外に短いのは驚きですよね。
それでは、どのように津軽三味線というジャンルが生まれ、浸透していったのかをみていきましょう。
津軽三味線の始祖「仁太坊」の出現
津軽三味線の始祖は、明治時代の三味線弾き「仁太坊(にたぼう)」だといわれています。
仁太坊は幼い頃に失明した、盲目の三味線弾きでした。
先述のとおり、江戸時代には目の不自由な人々による三味線集団がありましたが、明治維新によってこの集団は廃止されてしまいます。
仁太坊は、これをチャンスに変えました。
それまで目の不自由な人々は、幕府の管轄下で三味線を演奏する身でしたが、管轄から外れたことで自由に演奏ができるようになり、仁太坊はこれを逆手に取ったのです。
まず仁太坊は、三味線と尺八、竹笛という3つの楽器を演奏する大道芸をはじめます。
そして大道芸を探究するなかで「太棹三味線(ふとざおじゃみせん)」という力強い音色が特徴の三味線に出会い、弦を打ちつけて演奏するスタイルを生みだしたのです。
▼三味線の種類
画像引用元:「楽器編|文化デジタルライブラリー jac.go.jp」
- 細棹三味線(ほそざおじゃみせん)
…胴部分が最も小ぶりで、舞台音楽や長唄の演奏に使われることが多い - 中棹三味線(ちゅうざおじゃみせん)
…細棹三味線より胴部分が厚く、しっとりとした艶のある音色が特徴 - 太棹三味線(ふとざおじゃみせん)
…胴部分が厚く、力強い音色が特徴
現代でも津軽三味線の演奏は「太棹三味線」が主流で、明治時代に仁太坊が始めた演奏スタイルが現代も引き継がれています。
こうして仁太坊の演奏スタイルは評判を呼び、多数の弟子も抱えるほどとなりました。
第二次世界大戦後、全国へと広まる
津軽三味線が全国的に広まったのは、戦後のことでした。
意外にも、全国に広まったのはつい数十年前のことなのですね。
津軽三味線の全国的な広まりには、仁太坊の弟子の一座で三味線の腕を磨いた「三橋美智也(みはしみちや)」という人物の存在がありました。
三橋美智也は津軽三味線の演奏者、そして歌手として戦後に大人気となります。
発売されたレコードは計1億枚以上を売り上げたのだとか。
この三橋美智也の人気の高まりとともに、津軽三味線の知名度も全国へと広まりました。
レコード・CDもリリースされる人気音楽へ
三橋美智也が広めたことをキッカケに津軽三味線の人気は高まり、レコードやCDも多くリリースされるようになります。
近年では「吉田兄弟」といえば、津軽三味線に詳しくない方でも人気ぶりが分かりやすいですよね。
吉田兄弟は大手レコード会社からCDをリリースし、トレンドの歌手などと並んでオリコンランキングに入った実績もあります。
三味線音楽は伝統的で古風な印象があり、それゆえに「敷居が高い」といったイメージを持たれやすいですが、津軽三味線はポップス音楽に慣れている現代の人たちからも支持されていることがうかがえますね。
令和時代~|現代における津軽三味線とは
明治時代に誕生した津軽三味線ですが、令和時代となった現代でもさらなる進化を続けています。
ここからは令和時代における津軽三味線の進化をみていきましょう。
アニメソング界はじめ、さまざまなジャンルへ進出
津軽三味線はアニメソングをはじめ、さまざまな歌手とのコラボも目立ちます。
たとえば、先述している吉田兄弟は日本国内のアニメソングや歌手だけでなく、海外バンドとのコラボにも積極的。
さらに海外の旅行者からも人気な「teamLab(チームラボ)」でDJとのコラボ演奏もするなど、常に観客を驚かせるようなステージを作り出します。
参考サイト:「吉田兄弟「津軽三味線の光になりたい」伝統の世界でオリジナリティを切り拓く!|音楽っていいなぁ、を毎日に。| WebマガジンONTOMO」
津軽三味線は明治時代に始まりまだ歴史が浅いことから、ルールや伝統が固まりすぎておらず、新しいジャンルへも柔軟に挑戦できることが魅力でもあるでしょう。
そして海外バンドとのコラボなどからも分かるように、日本以外の国でも人気や知名度が高まりつつあります。
世界大会も開催され、海外での人気も確立
津軽三味線は、世界大会も開催されています。
2024年に行われた世界大会では、エントリー希望者は数百人にものぼり過去最多を記録。※2024年5月現在
津軽三味線が外国人からも注目され、人気が高まっていることがわかりますね。
参考サイト:「弘前で「津軽三味線世界大会」開催へ エントリー数は過去最多 – 弘前経済新聞」
明治時代から約150年、愛され続ける津軽三味線
津軽三味線の始祖「仁太坊」は、激動の時代の中で自身のハンディキャップも抱えながら、力強い音色を奏でて人々の心を打ち続けました。
そこから約150年という短い歴史の中で、海外からも支持される芸能へと進化。
現在では人気アニメや歌手ともコラボを行い、伝統は残しながらも、今もなお変化と挑戦を続けています。
また津軽三味線を体験できる施設も増えていて、外国人の方からも人気です。
モテナス日本ではオーダーメイドで津軽三味線の体験をプロデュースすることも可能なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▼関連記事
津軽三味線が外国人に人気!体験施設や注意点を解説 | 外国人向け伝統文化体験|モテナス日本
▼参考サイト
津軽三味線とは – 和楽器ユニット和響
三味線プレイヤー:史佳 Fumiyoshi:オフィシャルサイト
コラム – 煎茶堂東京オンライン
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