外国人を和食で接待するときの注意点とは?注目の和食メニューも紹介

外国人を和食で接待するときの注意点とは?注目の和食メニューも紹介
Mayumi Folio
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外国人の大切なお客さまを接待するとき、せっかくなら日本の食文化『和食』を楽しんでいただきたいですよね。

しかし、食文化の違う外国人のお客さまには「どのような和食がいいのか」「和食のメニューを選ぶうえで注意点はあるのか」といったことが気になる方も多いと思います。

そこで本記事では、外国人のお客様を和食で接待するときに注意が必要な食材をピックアップしました。

また外国人の接待におすすめな和食メニューや外国人が注目する和食も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

外国人を和食で接待するときに注意する理由

外国人を和食で接待するときに注意する理由

まずは、外国人を和食で接待するときに「なぜ注意が必要なのか」を知っておきましょう。

外国人を和食で接待するとき、主に下記の点から注意が必要になります。

  1. 宗教上の理由
  2. 個人の健康目的や思想による理由
  3. アレルギーを持っている人もいるため
  4. 外国人になじみのない食品があるため

わたしたち日本人と違う文化・思想をもつ外国人を和食で接待するとき、なぜ注意が必要なのかを知っておくとお相手の外国人の文化を理解するヒントにもなるので、より詳しく解説します。

お相手の外国人の文化を知ることは接待でスムーズなコミュニケーションを取るうえでも重要になってくるので、この機会に理解を深めておきましょう。

宗教的な理由で食べられない食材がある

外国人の中には、宗教上の理由で特定の食べ物が食べられない方もいます。

日本人には食事制限のある宗教を信仰している人は少数ですが、世界的に見ると約30%以上の人が食事制限のある宗教を信仰しているといわれるほど。

世界の約3分の1、つまり3人に1人が宗教上の理由で食事に制限があるのでお相手の外国人も当てはまる可能性は高いですよね。

たとえば中東地域やアジアに信仰者が多いイスラム教徒の人は、豚肉やアルコールが禁止されていることは有名です。

さらにインドを中心に信仰者が多いヒンドゥー教では牛肉や豚肉などの動物性の食品を避ける人が多いほか、イスラエルやアメリカなどに信仰者の多いユダヤ教ではヒレやうろこのない魚を食べることが禁じられているなど、宗教によってそれぞれタブーとされる食材が存在します。

そのため、お相手の外国人の食事スタイルに合わせて接待の和食メニューを選ぶことが大切。

ただし、同じ宗教を信仰していても国が違うと食事制限の内容が違う場合もあります。

お相手の外国人にどのような食事制限があるのかを、事前に必ず確認しておきましょう。

食習慣が理由で食べられない食材がある

外国人の中には宗教以外の理由で、個人の健康目的や思想から食事制限をしている人もいます。

肉や魚を食べない「ベジタリアン」や、動物性の食品を一切食べない「ヴィーガン」などが代表的な例です。

さらに最近では、肉は食べないけれど魚介類は食べる「ペスカタリアン」や、フルーツなどを中心とした食生活をする「フルータリアン」といった外国人もおり、食事制限のスタイルは多種にわたります。

そしてこういった食生活は、環境問題や動物愛護の面からおこなっている外国人も多いので接待時の話題選びにも注意をしましょう。

なぜその食生活をしているのかといった背景部分も想像しておくと、和食選びだけでなく外国人とコミュニケーションを取るうえでも役立ちますね。

アレルギーがある外国人もいる

日本人と同じように、外国人でも特定の食品にアレルギーのある方がいます。

とくに和食で注意すべきは「蕎麦」で、実は海外では蕎麦アレルギーの存在を知らない外国人も多いのです。

アレルギーは命にかかわる危険性もあるので、必ず確認してから和食選びをしましょう。

お店によってはアレルギー表示をしていたり、食材の相談ができることもありますよ。

外国人には不慣れな食材がある

日本では普通に食べられる食材でも、外国人にとっては不慣れな食材もあります。

わたしたち日本人も、海外旅行へ行ったときに現地の料理で驚いたことはないでしょうか?

たとえば、フランス料理として有名なエスカルゴを想像してみてください。

食用とはいえ、かたつむりを食べるのに抵抗がある日本人もいるはずです。

実は、私もイタリア人の友人と話していた際、日本では焼肉で「タン」が有名だと伝えたところ「牛の舌を食べるなんて…」と怖がらせてしまった経験があります。

もちろん、慣れない食材を食べることを文化の違いとして楽しむことができる外国人もいますが、人によっては抵抗がある食材もあるため注意しましょう。

外国人との食事で注意が必要な食材とは?

外国人との食事で注意が必要な食材とは?

それでは、外国人との食事で注意が必要な食材の代表例を見ていきましょう。

アルコール類

イスラム教徒や一部のキリスト教徒の中には、アルコール類を飲まない人もいます。

さらに、飲酒の場にさえ同席をしないという厳格な人もいるのでアルコール類の提供には注意が必要です。

またアルコールへの食事制約がない外国人であっても、日本酒や焼酎へのなじみがなく「日本酒や焼酎を飲んでみたいが、どの銘柄が口に合うかわからない」という場合も。

実際に私も、イギリス人の友人を日本酒の品ぞろえが豊富なお店へ連れて行った際、日本酒の辛口や甘口といったニュアンスが伝わらず銘柄選びに悩んだ経験があります。

そんなとき助けられたのは、2〜3つの銘柄を少量ずつ飲める「テイスティングセット」でした。

グラスに注がれる日本酒の量も少ないので、もしも口に合わなくても負担が少ないですし(外国人の方も「せっかく勧めてくれたから全部飲まなくては」と気遣いをする人は多いものです)結果として、友人は飲み比べることで辛口や甘口の違いも知れたようで喜んでいました。

接待の場でも日本酒や焼酎を飲む場合は、そのようなテイスティングセットがあるかを確認しておくのもおすすめです。

牛肉や豚肉

牛肉や豚肉に食事制限がある外国人も多いので注意しましょう。

たとえばヒンドゥー教、イスラム教、ベジタリアンやヴィーガンの人は、牛肉・豚肉への食事制限をしている場合が多いです。

とくにイスラム教は食事制限の厳しい宗教の一つで、イスラム教の教義に沿った処理がされていないと食べられない食材もあります。

さらに食材だけでなく、調理する厨房や調理器具においてもイスラム教の教義に沿っている必要があるため、レストラン選びから注意が必要です。

最近では日本にも、イスラム教徒の人向けに「ハラル認証」という「イスラム教徒が食べられるメニューを提供する」レストランもあるので活用してみてください。

ハラル認証には下記の3つの段階があり、レベル3が最も厳しい基準の認証をクリアしているお店です。

  • ムスリムフレンドリー(レベル1)
    …「レストラン側のできる範囲」でハラル対応に取り組んでくれるお店
  • 国内向けハラル認証(レベル2)
    …専門の認証機関から認定された、国内向けのハラル認証があるお店
  • 海外向けハラル認証(レベル3)
    …国内よりも基準が厳しい、海外の認証機関からハラル認証を受けたお店

ただしイスラム教徒の人の中には「豚肉とアルコールは気にするけれど、それ以外は気にしない」といった人もいるため、どの程度まで食事制限をするかは確認しておくといいでしょう。

またベジタリアンやヴィーガン向けのレストランであれば、牛肉や豚肉を使用しない和食メニューもありますよ。

刺身や生卵などの生もの

日本では普通に食べられる刺身や生卵といった生ものは、外国人にとってなじみがなく苦手意識をもっている方もいます。

最近では外国でも寿司が人気なので刺身にはなじみがありそうですが、海外の寿司店のネタは生魚ではなくチキンやアボカドが代用として使われていることも多いのです。

そのため外国人から「寿司が食べたい」とリクエストを受けたとしてもお相手がカリフォルニアロールのような寿司を想像している場合もあるため、生魚は食べられるのかを必ず確認しておきましょう。

さらに日本人にとって新鮮なお刺身として喜ばれる「生けづくり」も、外国人には野蛮な食事だと思われることも多く注意が必要です。

また日本では卵かけごはんをはじめ、すき焼きなどでも食べられる生卵ですが、日本以外で生卵を食べる国はあまりありません。

生卵を食べられるということは日本の卵の品質が高く安全である証拠ですが「生卵を食べるのは危険」と感じる外国人は多いので、注意しましょう。

そのほかにも、生しらすや馬刺しなどの生ものも外国人にはあまりなじみがありません。

外国人の方からリクエストがない限り、生ものは避けるのが無難です。

出汁や料理酒など調理につかう食材にも注意

食材だけでなく、出汁や調味料の原材料にも注意しましょう。

たとえば、鰹だしにはベジタリアンやヴィーガンの人が摂取を控えている魚が使われています。

そして和食で使われることの多い料理酒、みりんにはアルコールが含まれているためイスラム教徒の人にとってタブーとなる場合も。

また、味噌や醤油によってはアルコールが添加されている商品もあります。

普通のレストランで調味料にまで注意をしてもらうのは難しいため、ヴィーガンやベジタリアン向けのお店、ハラル認証があるお店など、専門のレストランで接待をするのが安心でしょう。

ただし「調味料までは食事制限をしない」という人もいるため、こちらも事前にお相手に確認しておくのがおすすめです。

ここまで紹介した食材以外にもお相手の外国人の食事スタイルによって禁止されている食材はあるので、くれぐれも確認は忘れずに、和食メニューを選ぶようにしてくださいね。

おすすめの和食メニューは?外国人が注目する和食も紹介

おすすめの和食メニューは?外国人が注目する和食も紹介

ここまで外国人と食事をするうえでの注意点を紹介しましたが、日本人にはなじみのない食事制限があるとどのような和食メニューを選べばいいのか迷ってしまいますよね。

そこで食事制限や文化の違いなどを考慮したうえで、外国人との接待でおすすめな注目の和食メニューを4つ紹介します。

  • 寿司
    …外国人に人気のある寿司ですが、最近はヴィーガンの人も食べられるベジタブルロールや野菜の寿司を提供するお店も増えています。ネタが野菜であれば、生魚が苦手な外国人でも食べやすいですよね。また、ハラル認証のある寿司店もありますよ。
  • 豆腐料理
    …豆腐は外国でも認知度が高く、健康食としても人気です。出汁など、調味料の原材料にだけ注意しましょう。
  • とんかつ
    …揚げ物料理は外国人にもなじみがあり、なおかつ日本独特のサクッとした衣が美味しいと感じる外国人は多いです。ヴィーガンレストランでの提供も増えており「べジミート」と呼ばれる、植物性の肉風の加工食品で調理してもらえる場合もありますよ。
  • 天ぷら
    …天ぷらは外国人からも人気の和食メニューです。数は少なめですがベジタリアン向けメニューのある天ぷら店、ハラル認証のある天ぷら店もあるので、食事制限のある外国人にも安心して食べてもらえますよ。

外国人は普段、和食に比べて濃い味を食べている人が多いため、醤油やソースなどで味付けがしっかりされている和食や揚げ物などのなじみのあるテイストの和食を選ぶといいでしょう。

また外国人は正座の姿勢に慣れていない人も多いため、座敷席ではないレストランを選ぶのがおすすめですよ。

まとめ

まとめ

食文化や宗教が違う外国人のお客様の接待は、正解が分からず悩んでしまいますよね。

しかしお相手の食文化や宗教を知ることは接待をするときのコミュニケーションでも役立ちますし、お相手の食文化や宗教を尊重することは信頼関係を築くうえで大切です。

また「相手の立場を想像して思いやる」という姿勢が日本の良き文化で、外国人から信頼を得る大きな要素になることも多いので、お相手の食事制限をしっかり確認したうえで和食メニューを選んでいきましょう。

最近ではベジタリアン向け・ヴィーガン向けのお店やハラル認証があるお店も増えてきているので、気を揉みすぎずに専門のレストランへ相談もしながら外国人に喜んでもらえる和食メニュー選びをしてみてくださいね。