大切な人と個人的にお付き合いを深めていきたい。
そんな時は自宅に招待してこころを込めたおもてなしをしたいところです。
でも相手が外国人だったら日本の感覚でおもてなししても大丈夫なのかな?と考えてしまうことがありますよね。
そんな時外国でのおもてなしを知ることによってヒントが得られるかもしれません。
今回は日本以外の国でのおもてなし事情、フランスでのおもてなしについてご紹介いたします。
フランスと日本のおもてなしの違い
招待されたら招待する。
フランスでは、もっと親しくなりたい人や友人に家族、とにかくうちに人を呼ぶことが多いです。
そして、呼ばれたら、今度はうちに招待する。
ということが暗黙のルール。
もし、招待したのに、招き返されなければ、そこからは自然と疎遠な関係になって行くというのも暗黙の了解です。
招き返さない。
というのは、失礼にあたるというよりも、「あなたたちとは深いおつきあいはできない。」という意味があるように感じます。
なかなかシビアに感じますが、お互いに呼び合う関係にならなかったものの以前と同じく顔を合わせれば、普通に会話するので関係がこじれることもなく平穏につづきます。
案外その方が抱え込みたくない人間関係の深みにはいることもなく、さっぱりとした感じがします。
必ず家族で出席
フランスでお家にご招待されたら、必ずカップルで出席します。
もちろん相手がいない場合はもちろん一人でも問題はありません。
が、まわりはカップルになります。
こどもがいる場合は、こどもも一緒にお邪魔させていただきます。
人によって,あるいはパーティーの種類によってはベビーシッターや祖父母に預かってもらって夫婦だけで出席するという人もいるそうです
普段のホームパーティーにはこどもと一緒という場合がほとんどです。
とにかく、おつきあいは家族ぐるみで,という形になって行くのが自然だと感じます。
フランス流ホームパーティー
フランス人のホームパーティーはとてもシンプル。
クリスマスやニューイヤーパーティー、お誕生日パーティーや結婚パーティーなど特別なパーティー以外の普段のおもてなしは、基本的にシンプルです。
夕飯に招かれるということがほとんどですが、休日のお昼ごはんやこどもがいる友人同士であればおやつパーティー。
あるいは夕方のアペロといわれる軽いお酒とおつまみの時間。
といった感じで招待されます。
夕飯の招待はだいたい食前酒と軽いおつまみ、前菜、メイン、デザートと行った流れが基本。
もちろん事前に「なにか必要な物はある?もっていこうか?」と尋ねながらですが、招かれた方はお花やワイン、あるいはデザート、チーズ、もしくはチョ
コレートなど、メインに入り込まないものを持参します。
もし相手にお子さんがいるのならこども達へ小さなプレゼントなどを用意します。
もし、初めてのお招きだったり、全部用意するのでとくにいるものがない。
とのことであれば、食べ物類はやめてお花や小さな気の利いたプレゼントを用意します。
基本的にワインと何か。
という感じが多いような気がします。
お料理の持ち込みなどは、相手との話し合いになりますが、基本的には招待する側が「今回の食事はまかせて!」という形になります。
しかし気心の知れた仲間との大人数のパーティーには、開催者と相談ですが、おかずを持ち寄るのが主流で事前にもってきてほしい!と言われるときもあるので得意な持ち寄りレシピがあるといいですよね。
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ホームパーティーの食事
では,どんなかんじの食事を用意すればいいのか?というと、基本は前菜、メイン、デザート。
という流れがあれば、どんなものでも問題ありません。
前菜、メイン、デザート。
とかんがえると、フレンチのコース料理を思い浮かべられるかもしれませんが、可能性は無限大です。
学生でも前菜、メイン、デザートの流れで、アイデア勝負でもりあがります。
メインに多いのは、煮込み料理とオーブン料理です。
フランスの家庭料理には驚くほど多くのオーブン料理があり、一見ものすごい豪華で手間がかかっていそうですが、素材を並べてオーブンにいれておくだけ。
という料理法。
そして前日に仕込んでおける煮込み料理もパーティーのメインとしてよくでてきます。
前菜を食べている間にオーブンが料理してくれるので、ホストもゆっくりくつろいで時間をたのしみます。
あと最近は、ほとんどのフランス人の家にある調理ロボットである自動調理器。
この調理ロボットはフランスで瞬く間に広がり、なくてはならない家電の一つ。
様々なメーカーから出されています。
素材を入れてメニューを指定すると自動的に火加減や混ぜ加減などを調節してくれるので、こちらも前菜の間に完成する。
という感覚です。
そしてもちろん食事にあったお美味しいワインは必須です。
ホストはワインと食事のマリアージュを自分なりに提案してみんなでたのしむこともホームパーティーの楽しさ。
もちろん、客の持参したワインもみんなでいろいろ言いながらたのしみます。
あとは、マルシェやチーズ屋さんで見つけた最近のお気に入りのチーズなど、とにかく日常生活でみつけたちょっとうれしかったもの、おいしかったもの、をホストはみんなと分け合います。
デザートはタルトやチョコレートケーキなど簡単にできる焼き菓子が一般的ですが、近所の美味しいケーキ屋さんのケーキなの!とか、さっぱりとアイスクリームという感じで、そんなにがんばりません。
フランス人のおもてなしは、
普段の食事より、ちょっと贅沢にみんなをおもてなし。
これからも、そんな時間を共に共有していこうね。
という意味を感じます。
フランスで喜ばれる日本らしいおもてなし
全力のおもてなしは嫌がられる?
日本人的には、とにかく相手に喜んでもらいたい!いろいろたのしんでもらいたい!とがんばってしまいます。
しかし、がんばりすぎると自分を誇示するようなおもてなしになってしまい、そういう感覚はフランス人達に嫌悪されます。
フランスのテレビ番組でホームパーティーをしてあとでみんなが点数をつけあい、評論するという恐ろしい番組があるのですが、なんやかんやと長寿番組。
なので、やはりみんなホームパーティーのさじ加減を気にしているのだろうな,というのが伺えます。
そのさじ加減が大変難しいのですが、適当にすればいいのか,というとそうでもありません。
明らかに手抜きや、誘われたから渋々お返しします,という感覚にもみんなひどく敏感です。
大切なのは普段の自分らしさをつたえること。
そのうえに、あなたは大切な人たちだからちょっとだけがんばった!というパーティーが一番盛り上がります。
和食でホームパーティー
日本人のうちにホームパーティーで招待された!となれば、その期待に応えるべく和食を準備したくなるのが日本人ですよね。
巻き寿司、お好み焼き、たこ焼き、カレー、など、手軽に海外でもできてそこまで特殊な味ではない日本食はよろこばれます。
でもやはり、前菜、メイン、デザートの流れは壊さないように和食を準備することをお勧めします。
ちらし寿司など一品と副菜のようなものは、あれまだメインないの?という空気になってしまいます。
副菜を先にとりわけれるようにだして、ちらし寿司をメインの用に登場させれば問題がありませんが、突然テーブルにだされていると、米料理ということもあり、サラダの感覚になってしまいます。
日本!日本!といいながら,やっぱりそこまで日本食を食べ慣れていないフランス人がおおいのは事実。
パンやチーズ、ハムなどどうしてもお口に合わなかった人が困らないようにそっとテーブルに置いておくのもおすすめです。
そしてもちろん箸だけではなく、フォークとナイフも準備しておきましょう。
たとえたこ焼きでも必要な方はいます。
日本らしいおもてなしエピソード
巻き寿司パーティー
「寿司の巻き方をこんどおしえて!」
前回、巻き寿司をメインにした夕食に友人を招いた時のことです。
海老にスモークサーモン、クリームチーズにレタスと卵焼き。
といった簡単に手に入れることができる素材での巻き寿司を用意しました。
友人たちは、どうしてこんなに奇麗に巻けるの?どうして米がぱさぱさじゃないの?と、寿司に対しての謎を一気に投げかけます。
「じゃあ、こんど、みんなで巻いて食べようよ!」と、巻き寿司ワークショップを企画。
フランスのお米はタイ米のようなパラパラとまとまりにくいお米が主流で、日本のようなもっちりとした白米を食べるためにはこつがいります。
そんなこつを伝授したり、素材の選び方に切り方、ご飯をどのぐらいのせるのか、そしてどうやって巻くのか。
という、細かい疑問にすべて答えながらのホームワークショップで大盛り上がりでした。
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鯛のお頭の塩焼き
長い付き合いになるフランス人の友人夫婦には、ほとんどの日本食メニューを紹介したような気がしていました。
正直、異国の地で日本食をつくるのは簡単ではありません。
フランス風のメニューの方がフランスのホームパーティーにはやはり最適だということに気がつきます。
日本食をつくるためにわざわざ食材を探さないでもいいし、日本の食事はとにかく洗い物が多くなるのも悩ましいところです。
しかしこの日、友人たちはたのしみにしていた日本旅行がコロナ渦でキャンセルになってしまいました。
そんな話を聞くと、たまには初心に戻っておもてなししたいような気分です。
その日は美味しそうな鯛がマルシェにあったので、丸ごと買って塩をすりこみ鯛のお頭の塩焼きにしました。
その鯛を大皿に盛りつけ、下には大きな葉っぱを敷きます。
そして日本のようにお茶碗にご飯とお味噌汁。
フランスで手に入る野菜で、煮物やおひたしをつくり、
和食器を思い起こさせるようなお皿に懐石の八寸のように小さく盛りつけてお出ししました。
デザートも抹茶風味の焼き菓子とアイスクリームをこちらでみつけた日本っぽい手焼きのボウルで登場。
最後はもちろんほうじ茶で。
今日はまるで日本に来た気分だよ!となんだか喜んでくれました。
料理の内容だけではなく、雰囲気で和を演出してみるのも日本らしいおもてなしとして喜ばれます。
大失敗のおもてなし
筆者がまだフランスに渡ったばかりのころ、初めてできたフランス人の友達のおうちに招待されました。
学生だったので、みんな気軽にホストのメインとみんなの一品持ち寄りで楽しく夜が過ぎました。
それから順番に、その時招待された友人たちが交互におなじくみんなを自宅に招いてパーティーをしていきます。
そして最後に私の番になりました。
はじめてだったので、どうすればいいのかよくわからないけれど、とにかくがんばっておもてなししなければ!と当時の筆者は張り切ります。
狭いアパートにカップルで10人以上の友人がやってきました。
みんなワインやお酒、お花にチョコレートを携えて。
しかし巻き寿司のパーティーを企画したのですが、どうしても量がたりません!料理の持ち寄りをみんなに頼むのを忘れてしまったのです!
私はいそいでお米を追加してたき、ある物をとにかく巻き続けみんなが楽しむ横でせっせと巻き寿司をつくりました。
すると友人たちが、「どうしてキッチンにばかりいるの?」
「みんなといっしょにいようよ!」と気を使って手伝いにきてくれます。
でもわたしは、「みんなはお客様なんだからゆっくりしてて!」と、一人で巻き寿司に没頭していました。
「お手伝いが必要だったらいってね」と、みんなは残念そうな顔をしてキッチンを去って行きます。
帰り際に、友人たちが、「もっと一緒に遊びたかったよ!」とか、「ごはんつくらせてごめんね。」とかなんだか申し訳なさそうでした。
そのとき、フランスと日本ではおもてなしの意味が違うということに気がつきました。
どうしても日本人だと、客人がたのしんでもらうために過不足ないよう尽くしてしまいます。
しかしどうやらフランスでは、おもてなしをするということは、もてなす側が相手と一緒にたのしんでいなければ、それはおもてなしにはならないのです。
たとえ客が米まみれになって指先が魚で生臭くなっても、一緒に「料理足りなかった!」といって、楽しみながら巻けばよかったのです。
その時の私は、相手に喜んでもらおう!お腹いっぱい食べてもらおう!楽にしてもらおう!ということだけに集中するばかり。
招待者だけが楽しむのではなく、一緒にいる自分も相手との時間を楽しんで大切すること。
それは折角自分と時間をすごすために集まってくれた友人に対して大変失礼だった、ということに気がつきました。
相手を思う気持ちの形。
そこにいつも自己犠牲はいらないのです。
簡単にできるホームパーティ料理の参考動画:
【料理動画】おしゃれで簡単おもてなしレシピ6品/ガッツリ女子会風景【ホームパーティー】
まとめ
フランスと日本
西と東の国ですがどちらも客人をもてなす美学があります。
しかしその根底にあるのは、大切な人が楽しんで喜んでくれたらいいな、と言った暖かい気持ち。
文化や習慣による気持ちの表現方法はいろいろありますが楽しい時間を共有することができれば、国境を超え個人の付き合いになれるでことでしょう。
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