【海外駐在員が実践】茶道と着物でおもてなし

Aiping
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訪日外国人の間で、人気の茶道体験。 茶道は実際にその場でお茶を飲むという体験ができるので、大変に人気があります。

 

では、茶道の中のどのポイントが外国人に人気があつまっているのでしょう?

今回は海外においての茶道とは?そして海外駐在員が体験した海外での茶道体験についてお届けしたいと思います!

海外から見た茶道とは

岡倉天心のBook of the tea

「【海外駐在員が実践している日本らしいおもてなし事例と文化体験」についてご興味のある方はこちらの記事も参考にしてください。

参考記事:【海外駐在員が実践!】日本らしいおもてなし事例と文化体験

明治時代、日本人が英語で執筆した日本文化についてのベストセラー本として“武士道”と“茶の本”があげられます。

茶の本の著者は、現在の東京藝術大学美術学部を創立した岡倉天心。

彼の偉業は日本文化を語る上でどれもこれも重要な物ばかりですが、その中でも英語で執筆された「茶の本」の影響力は国際的でした。

1906年、ボストン美術館の中国日本美術部門部長を勤めていた天心が、ニューヨークの出版社から刊行しました。

日本が世界から孤立していたのは、自省をする一助となって茶道の発達に非常に好都合であった。

われらの住居、習慣、衣食、陶漆器、画等――文学でさえも――すべてその影をこうむっている。

いやしくも日本の文化を研究せんとする者は、この影の存在を無視することはできない。 茶の本P17

と、あるように、茶の本は茶道にまつわる事のみならず、日本の生活すべてにおいて茶道の心得がベースとなっている、と、説きます。

当時の世界情勢の中、かなり強気に東洋 日本を、西洋へとぶつけたこの一冊は力強かった事でしょう。

要人や国賓の茶道体験

要人や国賓が来日した際に、茶道体験をされている姿をよくメディアでみかけますよね。

茶道体験は、やはり日本を代表する日本文化体験ともいえるでしょう。

中曽根元総理大臣がみずから、レーガン元大統領にお点前を点てられた事はとても有名。

茶道のもつ相手をうやまい、対等な立場での茶の席を同席すると行った特別な空間。

茶道のもつ静寂さの中一杯のお茶をいただくことは、どんな方でもリラックスすることができます。

その心の安心感は要人の方だからこそ、ご用意して差しあげたいひとときです。

茶道と着物

着物のレンタルプラン持つ茶道体験が大変に人気あるようです。

もちろん、そのままでも楽しんでいただけますが、折角なので着物を着てみたい。

そして着物姿で日本体験をしたい!と考える外国人が増えてきているのは、着物と茶道のイメージが結びついているのを伺えます。

茶道は一連のきめ細かなさだめられた動作によって、点られたお茶をいただく行為の道。

その行為一つ一つを順におこなうことで相手にお茶を点てる。

その中には動作、歩き方、すべてが定められています。

こうした厳格な空気のなか、背筋を伸ばしていただくお茶と、

着物の持つ上品さ、丁重さ。

茶道体験は外国人の方にとって、日本を全身で体感する事ができるのではないでしょうか?

日本のおもてなし

おもてなしの神髄は茶道にあり。

おもてなしは茶道家 千利休の「裏も表もないこころで相手をむかえる」という思想からはじまっています。

茶道のなかには、客人にたいしてのおもてなしの心得がいたるところにちりばめられています。

どんなちいさなことにでも、相手への敬意と気配りがあり、言葉をつかうことなく“場”を体験することで読む事ができる日本の心。

そんな茶道の持つ心の対話も人気の理由ではないでしょうか?

外国人が茶道が好きな理由

侘び寂びの心

茶道において、大切な侘び寂びのこころ。

侘び寂びとは、日本の美意識のひとつ。

貧粗や不足のなかに、心の充足を見いだそうとする意識の事。

閑寂ななかに奥深い物や豊かな物がおのずと感じられる美しさ。

無常である事が美しい、という日本文化の中心思想といわれています。

この侘び寂びについての理論を海外に広めたのはイギリス人陶芸家、バーナード リーチ。

彼は日本の美意識のひとつとして « Wabi, Sabi and Shibui »としてその概念を発表しました。

イギリスに留学した高村光太郎と交流のふかかったバーナード リーチは、日本に大変興味をいだきます。

柳宗悦などとともに庶民生活の中にある道具のもつ美意識について民衆的工芸、民芸というアートの新ジャンルを設立、

柳宗悦らとともに日本民藝館を設立しました。

現在も海外では日本のデザインにおける美意識を考える上で« Wabi, Sabi and Shibui »は重要な理論として考えられています。

日本のスイーツ 抹茶味と和菓子

近年、抹茶味が世界的に大ブームになっています。

外国のお菓子の中にでもMachaとかかれたフレーバーの商品をみかけるようになりました。

有名なショコラティエやパティシエの作品にも抹茶味は登場しますし、カフェなどでも抹茶味のドリンクが注文できます。

外国人のおみやげにも抹茶味のチョコレートやクッキーは大人気です。

そして、和菓子の人気もあなどれません。

和菓子は奥深い世界で、日本の季節がつまっています。

お茶席でだされる和菓子には季節性や意味がこめられていますし、和菓子の名前には風景を見る事ができます。

そんな和菓子をつくる日本文化体験も大変人気がありますし、かわいくて繊細な味の和菓子は食文化の近いアジア圏の外国人のあいだで大変熱い人気があります。

海外で実践 簡単な茶道でおもてなし

盆点前

盆点前(ぼんてまえ)とは,お盆をつかって簡単にたしなむことができるお点前のことです。

表千家では略点前、お盆点。

裏千家では盆略点前とよばれ、

お盆の上だけで点前ができるので、気軽にどこでも茶道がたのしめます。

海外で簡単に茶道を楽しんでもらう時、この盆点前でおもてなしすると大変よろこばれます。

もちろん、普段は茶室でいただくことを説明しながらですが、お抹茶を飲む事や、点てる手順,など茶道を体験していただけるのはたのしい時間。

茶杓と茶筅を日本から用意しておけば、後は現地でなんとか調達できます。

お抹茶は海外でもオーガニックショップなどで簡単に手に入りますし、

抹茶茶碗は持ってくる事ができればそれは一番ですが、現地の蚤の市や陶芸作家さんの作品などで代用できそうな味わいある椀を自分でさがすのもたのしいですよ。

完璧ではなくとも、茶道の雰囲気を親しい友達とたのしむ。

そんな海外での茶道も粋なものです。

日本映画の影響

海外で大きな街なら和菓子も手にはいりますが、普段はとてもめずらしいものです。

とくに小豆に関して、甘い豆を食べる習慣のない西洋ではあんこが苦手という人は結構見かけます。

2015年河瀬直美監督の映画「あん」が上映されたあと、あんこってなに?どんなあじなの?と聞かれる事が多くなりました。

上映されていた時は日本食材店の棚からあずきやあんこの缶の姿が消えていたほど。

店員さんも映画のおかげで今まであまり人気のなかったあんこの売れ行きがのびた!とおっしゃっていました。

そして、2018年大森立嗣監督「日日是良日にちにちこれこうじつ」の映画で茶道に興味をもった、という外国人の方も結構いらっしゃいました。

茶道の魅力に気づき惹かれていった女性が体験するのは、お茶室でくり日遂げられる精神の大冒険。

茶道のイメージがより具体的にもてるようになった。

と現地の茶道教室に足を運ぶ外国人の方が増えたそうです。

ホームパーティーで気軽に茶道

“外国人の友達と小豆を煮て、和菓子を作り、盆点前で点てたお抹茶でいただく。”

といった茶道体験もおすすめです。

小豆は最近健康志向などから海外でもオーガニックショップで手軽に手に入るようになりました。

圧力鍋を使えば時短で簡単にあんこが作れるので作り方を知りたい友達ならとなら当日でもつくれます。

そしてもちろん前日につくっておいてもいいですしね。

世界中どこでも手に入りやすい小麦粉でできるどら焼きやおまんじゅうをつくります。

特にどら焼きはパンケーキのようなので、なじみ深いです。

現地の材料でつくる和菓子や,初めて飲む盆点前で点てたほんとうのお抹茶にみんな大興奮。

かなりお手製で家庭的な茶道体験ですが、大変好評でした。

まとめ

茶道は日本文化の大きな要のひとつです。

茶道の持つ哲学や美学、理論は日本人すべての生活の中に自然にしみこんでいて、まさに日本そのものの文化といえます。

そんな茶道は海外からも大変注目が高く、様々なジャンルにおいてその影響が歴史の中でも確認する事ができます。

一期一会のおもてなし。

そのこころはまさに旅人にふさわしい一時になるでしょう。

参考URL:https://www.city.shimotsuke.lg.jp/manage/contents/upload/58218a08c39f9.pdf