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さまざまな改革が進んでいる中東のイスラム教の国、サウジアラビア。
サウジビジョン2030の発表により、年々グローバルビジネスへの展望が進められ、日本にもサウジアラビアからの大切なお客様をお迎えするシーンが増えてきました。
今回は、サウジアラビアからの大切なお客様をお迎えするにあたり、サウジアラビアの文化や習慣を理解し、ビジネスコミュニケーションに活かす方法についてご紹介します。
サウジアラビア人におすすめの体験型日本文化接待についてもご案内しますので、是非参考にしてみてくださいね。
サウジアラビア王国についての基礎知識
こちらでは、サウジアラビア人とのビジネスをする上で、知っておきたいサウジアラビア王国の基礎知識を紹介します。
サウジアラビア王国
サウジアラビア王国は、中東地域に位置する国で、面積がおおよそ2,149,690平方キロメートルと世界で13番目に広い国であり、人口は約3,400万人です。
アラビア半島の80%を占め、東部はペルシア湾、西部は紅海に面しています。
首都はリヤドで、イスラム教の最も重要な聖地であるメッカとメディナがあり、毎年、世界中からイスラム教徒がハッジ(巡礼)のためにサウジアラビアを訪れます。
経済的には、サウジアラビアは石油の豊富な国として知られており、石油産業が国の主要な収入源。
石油産業によって国内外の多くの企業が発展し、サウジアラビアは中東有数の経済大国となりました。
最近では、国内外で多様化を進めるために、非石油産業への投資や経済改革も行われています。
政治的には、サウジアラビアは絶対君主制を採用しており、国王が最高権力者です。
サウジアラビアの王位はアブドゥッラー家が世襲し、国王は政治・宗教・軍事の全権を握っており、国内外の重要な決定を行います
厳格で厳重なイスラム教国家でもあり、イスラムの教えに反する事や、風紀を乱す行為に対してとても厳しい罪と罰がとわれます。
滞在する外国人も注意が必要です。
参照;wikipedia「サウジアラビア」
サウジアラビア人の社会階級
サウジアラビアの社会では、まるで大学の学閥のような派閥があります。
一族のつながりが強く、同階級同士はお互いをよく知っていて、婚姻関係のある一族も多くいます。
なので、1人の知り合いがあっという間にその一族や、繋がりのある人物への橋渡しになるようなこともあり得えるので、どのような階級の相手に対しても常に失礼のない態度で挑むことが重要になります。
しかしながら、急激に成功した一族もいますし、派閥争いのように一族が犬猿の関係にある場合もあるので、注意が必要ですし、また同時に、アメリカのような経済階級社会でもあります。
このように、サウジアラビアの一族関係はとても重要になります。
サウジビジョン2030とは?
2016年、サウジアラビア政府はムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が主導し、2030年までの今後15年間で達成すべき目標と、そのための政策アジェンダをまとめた「サウジアラビア・ビジョン2030」を発表しました。
サウジアラビアのビジネス環境がかなり変化をし、グローバルなコミュニケーションが増加しています。
日本も「日・サウジ・ビジョン2030」に合意。現在も多くの日本企業がサウジアラビアとの交流を深めています。
現在のサウジアラビアでは、「サウジアラビア・ビジョン2030」により、石油依存の脱却と近代化をより一層進めているのです。
参照:サウジアラビア 「ビジョン2030」
文部科学省「中東経済の動向と日本企業の進出概要」
サウジアラビアのビジネスマナー
こちらでは、サウジアラビアのビジネスマナーについて、特に大切なポイントについて紹介します。
サウジアラビアの挨拶
サウジアラビアの挨拶は「アッサラーム・アライクム(al‐salām ‘alaykum)」です。
「神の平和があなたの頭上にありますように」という意味で、挨拶の言葉です。
これに対しての返答は「ワ・アッサラーム・アライクム(Wa alaikum as-salam)」となり、(あなたも平和でありますように)と答えます。
握手は目上の人から順に、必ず右手でします。
左手は不浄の手なので、間違っても差し出してはいけません。
名刺にはかならずアラビア語でも記載します。
パンフレットやプレゼン資料などもアラビア語で準備することを推奨します。
もし打ち合わせに多くの人数がいるようでしたら、ホストにだけ握手をして、あとの人には手を振って挨拶をしても大丈夫です。
座る時は足を組んでも大丈夫ですが、足の裏を見せて座ることは相手に「向こうに行け」というジェスチャーになるので組み方に注意しましょう。
また、お祈りの時間には会議中でもお祈りをするので、カーペットには土足で上がらないようにしましょう。
サウジアラビア人の時間の感覚
サウジアラビア人は一般的にのんびりとしていると言われていますが、ビジネスに関しては両極端な場面が多く見られます。
何回も何回も会議やミーティングを行い、ちっとも進展していなかったと思えば突然「明後日までに用意してほしい」といったような突然の進展がある。
といった具合に全く読めないといわれます。
なので、交渉が決まればあっという間に決まりますが、決まるまでの時間が慎重に進む傾向です。
そして、サウジアラビアは土日が休みではなく、金・土が休日になります。
週末が日本と違うので、予定を立てる時は注意しましょう。
参照:グローバルビズ「サウジアラビアでのビジネス・観光・留学のためのマナーや常識、文化を紹介」
サウジアラビア人への贈り物は注意する
サウジアラビアでは、本当に親しい人にだけ贈り物をする習慣があります。
あまり詳しくない人からの贈り物をもらうということは、恥ずかしい物として受け取られるので注意が必要です。
バカンスやお土産としての贈り物や、上司、取引先への贈り物はかなり失礼にあたるので基本的には贈り物はしません。
また、相手の持ち物に対してお世辞を言うと言うことは、そのものをプレゼントして欲しいと受け取られるため注意が必要です。
反対に、贈り物をすることになったのなら、最高級品を贈るようにします。
サウジアラビア人への贈り物は、細心の注意が必要です。
サウジアラビア人の接待で気をつけること
こちらでは、サウジアラビア人を接待する際に、丁寧なおもてなしを行うために気をつけるべき重要ポイントを4点紹介します。
左手は使わない
サウジアラビア人の接待の最中は、お相手の習慣にあわせて左手は必ず不浄な物だけを触る手としましょう。
イスラム教では、左手は不浄の手とされ、食事や挨拶の際に決して使用してはいけません。
とても重要な習慣なので、左利きの人は特に注意しましょう。
握手は必ず右手で行い、相手を尊敬します。
名刺を渡す時や受け取る時も、日本人的にしっくりきませんが、必ず両手ではなく右手で受け取ります。
このように、第一印象からもイスラムの風習を尊重する態度が大切になります。
食事とお酒への配慮
サウジアラビアの人たちは厳格なイスラム教徒です。
なので、食事はハラール食が基本となり、ハラール食で懐石料理を提供してくれるお店も増えてきているので、日本での接待会食におすすめです。
もちろん、会食接待の場だけではなく、ビジネスランチの際にも配慮が必要です。
ビュッフェ方式にする際にも、ハラール・メニューを自由に選ぶことができるよう、セッティングすることも大切ですし、その際にはかならず間違いのないように「ハラール・ミール」という表示をして配慮をします。
また、ベジタリアンやヴィーガンのイスラム教徒の方もいらっしゃいますので、念の為ベジタリアン・ヴィーガン食の準備も重要です。
どちらにしても、事前に確認が取れるのなら、お食事に関しては特に身長に対応していきます。
また、お酒も厳粛に禁止されているので、まちがえても接待会食の場でお酒をお出しすることのないように、お店側にも確認を入れておきましょう。
必ず目をみてしっかりと会話をする
サウジアラビア人のビジネスは、かならず「人」をみると言われています。
電話やメールだけのやり取りでは、どんなプロジェクトも進行しないといわれるほど、必ず人に合ってその人と目を見て会話してから商談が決まっていきます。
なので、サウジアラビア人とのビジネスにおいて、接待はとても重要なことになります。
サウジアラビアでは、自宅に客人をまねくというのが一般的な接待のスタイルですが、レストランでの会食も欧米風に受け入れてくれる人が多い傾向があります。
気に入った人には冷たく、苦手な人には愛想がいい傾向
サウジアラビア人は、嫌いな人や苦手な人とのコミュニケーションは、より愛想良く朗らかに行うという習慣があります。
反対に、好感を抱く相手や、気心の知れた相手には冷たくしてもいいという暗黙の了解があるので、親睦を深めたら急に態度が冷たくなったと言うことはよくあるとのこと。
なので、親しくなったのに大勢の人の前でとても冷たい態度をとられても、大丈夫です。
気に入られている証拠として受け取りましょう。
宗教と文化への配慮
サウジアラビアは厳格なイスラム教の国であり、ビジネスをする際も相手の宗教と文化への敬意を持つことが重要です。
厳格なるイスラム教の戒律を、国全体で守り実行しているサウジアラビアでは、国民全体が仏教徒でいうところの僧侶であり、その信仰と日々の修行を尊敬することがとても重要です。
こちらでは、イスラム教徒の方とビジネスをする際に必要な、イスラム教徒への配慮するポイントを紹介します。
ラマダンの時期への配慮
ラマダン(断食月)の期間中は、敬意をもって断食の慣習を尊重し、ビジネスのスケジュールに影響を受けることがあることを理解しておく必要があります。
ラマダン(Ramadan)は断食、祈り、慈善活動、精神的な浄化の期間として尊重され、イスラム教徒にとって最も重要な宗教的な月の一つです。
ラマダンの時期は毎年違います。
毎年ラマダンの日程はイスラム暦の9番目の月の約29または30日間続きます。
ラマダンの主な特徴は、イスラム教徒が日の出から日没までの間、食事や飲み物を断つ断食をすることです。
ラマダン期間中は、イスラム教徒が断食を守っていることへの配慮と尊重をして、この時期には、ミーティングがあっても絶対に会食接待を企画することは避けましょう。
断食の期間中、イスラム教徒は物理的な欲求を抑え、精神的な瞑想と自己犠牲の精神を高めることに集中する時期です。
ラマダンでは、夜間に特別な祈りであるタラウィーハ(Taraweeh)が行われます。
これは、イスラム教徒が集まり、クルアーン(コーラン)の朗読と祈りを行う特別な礼拝です。
そして、の時期は慈善活動や共同体の結束が強くなる時期でもあります。
イスラム教徒は断食を通じて貧しい人々や孤児、孤独な人々への支援や寄付を行い、他者への思いやりや共有の精神を強調します。
そしてラマダンの終わりには、イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)と呼ばれる祝日があり、家族や友人との集まりや祭りが行われ、特別な料理や贈り物を交換することが一般的です。
このように、ラマダンはイスラム教徒の信仰の中で、とても重要な要素であり、イスラム教徒の日常生活やビジネス活動にも影響を与えます。
イスラム教徒の食事への配慮
イスラム教徒はハラールと呼ばれる食品を食べます。
ハラールとは、クルアーン(コーラン)に従い、イスラム教の食品規制に合致した食品のこと。
ハラール食は豚肉、豚由来の副産物、アルコール、鳥肉のハラール規制に従わないものを避ける必要があります。
ビジネスランチやディナーの際には、ハラールの食事を提供するレストランを選ぶか、相手に適した食事の選択肢を提案することが望ましいです。
イスラム教徒は豚肉やアルコールを避けるため、料理の調理や提供時には、ハラールの食品と非ハラールの食品を厳密に分離する必要があります。
ビジネスイベントや食事会の際には、相手がハラールの食事を選ぶように配慮し、食品の分離を行いましょう。
また、イスラム教徒の中にはハラールな食事以外にも、ベジタリアンやビーガンの食事を選択する人もいます。
食事の選択肢を提供する際には、これらのオプションも考慮し、相手の食事制限や好みに対応するように心がけましょう。
お酒は厳禁
そしてアルコール飲料はイスラム教徒にとって禁止されています。
ビジネスの場での飲み物の提供には注意が必要であり、非アルコール飲料やハラールな飲み物のオプションを提供することが望ましいです。
イスラム教徒の食事制限や好みに対して敬意を持ち、配慮することが重要です。
相手の文化や信仰を尊重し、ビジネスの場での食事においても配慮のある態度を示しましょう。
これらのポイントを考慮し、イスラム教徒との食事の際には相手のニーズや制限を尊重するように心がけ、また、場合によっては相手に直接確認を取ることも重要です。
サウジアラビアからのお客様におすすめの日本文化体験
「サウジビジョン2030」の目標では、「活気ある社会~文化・娯楽活動の促進」が掲げられています。
以前はタブーとされていたグローバル文化体験も、現在ではサウジアラビア国内でも徐々に体験できるようになってきました。
こちらでは、サウジアラビアの人に喜ばれる日本文化体験を紹介します。
華道
サウジアラビアは砂漠の国。
なので、日本のような季節の移り変わりではありません。
サウジアラビアの自然植物も日本ではみることができないように、日本の植物はサウジアラビアでは生息できないので、日本の自然を楽しみたい人は多くいます。
日本の植物に触れていただける華道は、サウジアラビアの人への日本文化体験におすすめです。
華道体験は、華道家の方に花を活かすような活け方を学びます。
生け花はビジネスパーソンにもぴったりな日本文化体験。
日本独自の植物で特にご用意できるといいですよね。
戦国武将も生け花を嗜んでいたように、すぐさま適材適所を見出していくという、生け花には決断力を養う要素があり、チームビルディングにもおすすめですよ。
おすすめ関連記事:外国人チームビルディング研修に華道がおすすめの理由
ハラール・フードの懐石料理
サウジアラビアからのお客様との会食接待を企画するのなら、やはりハラール・フードの懐石料理をおすすめします。
ハラール・フードだけを食べることができるイスラム教徒にとって、異国に滞在中、安心できるハラール・フードで食事をゆっくり取るというのは、とてもリラックスできる環境です。
そして、懐石料理は日本で食べてみたいと考える人が多く、その理由として懐石料理は日本の文化が詰まった日本の高級料理と言うことが挙げられます。
懐石料理は一つ一つの素材や盛り付けに徹底的にこだわられており、見た目にもとても美しいことから、外国人からとても羨望を集めるのです。
お酒をのまないサウジアラビアの人との会食には、ゆっくりと一品ずつ味わえる懐石料理のコースでじっくりと親睦を深めることもできるでしょう。
おすすめ関連記事:【これで分かる】懐石料理で外国人をおもてなし接待
書道体験
イスラム教の聖典「コーラン(クルアーン)」は、神が預言者ムハンマドに伝えた言葉を書いたイスラム教の聖典です。
アラビア語で「コーラン(クルアーン)」は「読まれるもの」を意味しています。
厳格なイスラム教徒の国、サウジアラビアでは「文字」がとても神聖で重要な存在で、イスラム圏では、「アラビア書道」と呼ばれる、日本の書道にとてもよく似ている文化があります。
アラビア書道は神への神聖な祈りをより美しく写していく過程で発達して行きました。
日本の書道は、文字を表現することを極める「道」。
文字に対して神聖な気持ちを抱く日本文化とアラビア文化には通じる部分があります。
言葉や文字を尊重する書道を通して体験する日本文化は、イスラム教徒の人たちにとってとても受け入れやすいと言えるでしょう。
おすすめ関連記事:書道で日本文化体験!外国人に人気の漢字パフォーマンスは?
参照:本田 孝一氏が語る「アラビア書道に魅せられて―究極の文字芸術が教えてくれたアラブの心」
茶道
「客人にアラビックコーヒーを振る舞う」という、中東諸国やサウジアラビアのおもてなしは、2015年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
砂漠の遊牧民であった中東のアラブ人は、深煎りしたアラビカ豆とカルダモンなどのスパイスで煮出したカフワと呼ばれるアラビックコーヒー」を、ホストが丁重に客人にいれるという伝統的なおもてなしがあります。
まるで日本の茶事のようですよね。
このような背景もあり、茶道はサウジアラビアからの大切なお客様へのおもてなしにぴったり。
茶道でのおもてなしは、彼らの特別なおもてなしと似ているので、丁重なお出迎えであることが言葉を超えて、相手に届けることができます。
茶道の奥深い「おもてなし」の心を自然に受け取ってくれる国の人たちとも言えるでしょう。
おすすめ参考記事:茶道体験!外国人に人気の理由と英語によるパフォーマンス
まとめ
今回は中東の国、サウジアラビアからの大切なお客様をお招きする際に知っておきたいサウジの基礎知識について紹介しました。
厳格なイスラム国として知られているサウジアラビアですが、2016年に発表されたサウジビジョン2030により、さまざまな改革が進んでいます。
日本も多くの企業が参加しているので、サウジアラビア人との交流も以前よりずっと深まっていますよね。
サウジアラビアの文化の中に、書道や茶道など、日本にも通じる精神が多くあり、日本文化を体験していただいても、本質により近く理解を示していただける人が多いのも特徴です。
イスラムの文化や習慣をしっかり理解して、尊重することでよりここちのよいおもてなしを提供することができます。
ぜひ、大切なサウジアラビアからのお客様への接待、成功させてくださいね。
大学卒業後ロイター・ジャパンでSEとして勤務、その後ロイター・シンガポールでシステムマネージャーとして5年間勤務した後、オランダのビジネススクールで経営学を学び、日立製作所に入社。日立では新事業開発を担当し、中国での新事業や新興国での投資スキームを推進。11年間勤務後モテナス日本のサービスを運営開始し「世界と日本をもっと近づける」をモットーとして、日本文化体験を外国人向けに提供している。