親日家として有名な要人は数多くいらっしゃいますが、その中でも親日家であり知日派といわれ、大の日本文化愛好家として有名なのは故シラク元フランス大統領。
彼と日本との逸話は数えられないほどあります。
今回はそんなシラク大統領と相撲について、
そして大切な外国人のお客様への接待に参考になりそうな相撲体験についてご紹介します。
親日家、故シラク元フランス大統領
シラク元大統領と日本
公での来日だけで40回といわれている、親日家のジャック シラク大統領。
シラク大統領と日本美術
フランスの元大統領、故ジャック シラク氏は親日家として有名でした。
その上、ただの親日家にはとどまらず、知日派だったとも言われています。
彼の日本への関心がはじまったのは、幼少期。
パリの東洋美術館であるギメ美術館が大好きで、そこで日本への興味が始まりました。
高校生のときは数えられないほど、ギメ美術館にかよったそうです。
パリのギメ美術館には、中国、日本、東南アジア、韓国といった、アジア全域の美術品が所蔵され、そのコレクション4万5千点といわれています。
その数ある所蔵品の中でシラク少年の心をわしづかみにした、日本の美術品の数々。
そこから、始まった日本興味から、「万葉集」を学生時代に読破し、遠藤周作など日本文学を愛読していたそうです。
1994年に日本に一ヶ月ほど長期滞在した際には、奥の細道巡りをしたという逸話もあるほど、日本古典文学にも深い関心があったそうです。
フランス大統領として来日したさい、首相官邸で展示してあった土偶を通訳者が埴輪と通訳した際,その違いについてたしなめた。
と言われています。
埴輪と土偶についての違いまで指摘することができる親日家として、日本でも彼の日本文化に対する見識の深さは当時話題になりました。
そして自身も膨大な量の日本古美術コレクションを収集しました。
その姿は彼の生まれ故郷フランス中西部コレーズ県にある小さな村、サラン村にあるジャックシラク美術館で鑑賞することができます。
ケブランリー美術館
彼はこの幼少からの東洋美術への熱意をもって、2006年に会館したパリのケブランリー美術館誕生の立役者としてフランス美術界にも大きくその名を刻んでいます。
パリのセーヌ川沿いに、2006年に設立された、ケブランリー美術館。
この美術館は、ヨーロッパ以外で生まれた文明や芸術,文化を紹介する今までにない美術館です。
アフリカ アジア オセアニア、そしてネイティブアメリカにうまれ、今も生き続けている文化や民族を壮観できます。
この美術館設立案は日本美術愛好家のジャックシラク氏と、原始美術研究者のジャック ケルヤシュによって、始まったと言われています。
彼は、ケブランリー美術館のレセプションの席で、
「ケブランリー美術館完成の裏側には、西洋文明が辿りついたものこそが、人類すべてが追随するべき道だという自惚れと、他の文明文化を過去の遺産と決めつけてそれを研究材料か、西洋の芸術家にインスピレーションを与える“プリミティヴ(原始的)”なものでしかないという、誤った意見を拒絶する意志が存在します。
これらの偏見は廃絶されなければなりません。
なぜなら、人間間に序列がないように、芸術にも序列は存在しないからです。
世界のあらゆる文化には等しく敬意が払われるべきなのです。
この信念こそが、ケブランリー美術館創設の原動力となりました……」
幼少時代に始まったジャックシラク氏の日本文化へのまなざしは、非西洋文明への尊敬と敬意を育み、フランスがより自由と平等へ進む道しるべとなったのではないでしょうか。
シラク元大統領の相撲愛
親日家で日本美術愛好家として名高いシラク大統領が数ある日本伝統文化のなかで最も愛したといわれている日本の相撲。
その相撲への愛は、愛犬に「Sumou」と名付けるほどでした。
当時の日本領事館大使は大相撲の場所中、毎日エリゼ宮に勝敗をいち早く報告していたそうです。
1999年には、当時の首相小渕元総理大臣の訪仏の際には、貴乃花が明治神宮に奉納した綱と軍配を贈ると大喜びしたとして、その綱は現在もシラク美術館に展示されています。
一番好きな力士は琴錦で、琴錦と同郷だった小渕元首相とは当時たくさんの相撲話でもりあがったそうです。
相撲観戦が好きすぎて、大統領在職中はフランスの放送局と話をつけ、放映前の相撲中継の録画を入手するほどでした。
2005年、公私合わせた45回目の来日。
飛行機からおりて真っ先に向かったのは大阪で開かれていた大相撲春場所に訪れたそうです。
ジャックシラク氏の回顧録 第一巻には、相撲の仕切りの美学について熱く語られています。
「戦いの前に、2人の力士が相互ににらみ合う視線以上に強いまなざしを知らない」と仕切りの奥深さを。
そして、「相撲は私にとり人生の授業だった。
諦めてはいけないこと、勝敗が決する最後の瞬間まで戦うことを教えてくれた」など、
シラク氏は「人生で必要なことはすべて相撲から学んだ。
」と公言し、自分の哲学に相撲はなくてはならないこと語っています。
ジャック シラク杯
フランス大統領として、二度、大相撲パリ公演の実現に尽力をつくし、フランス大統領杯(シラク杯)を創設。
2000年から大統領を退任した2007年まで幕内優勝力士に授与されました。
現在もシラク杯は現在日仏友好杯として継承されています。
土俵にあらわれる巨大なマカロン
シラク杯が廃止されたのちも、幕内優勝力士に捧げられる日仏友好杯として大相撲とフランスの関係は続きます。
2011年7月場所から、シラク元フランス大統領に依頼されたのは、フランスパティシエの巨匠、ピエール エルメ氏でした。
当時、東北大震災や相撲界での八百長事件など、暗く重たいムードが漂っていた日本と相撲界。
そんな日本と相撲界を思いシラク氏が、ピエール エルメ氏に何か日本が元気になるようなものを、と依頼したそうです。
この巨大マカロンは直径41cm高さが25cmの大きさで、ピンク、グリーン、ゴールドなどが歴代贈られています。
副賞は金箔をふんだんに使ったゴールドのマカロン詰め合わせ。
賞味期限の短いマカロンを忙しい力士がたのしめるように、後日、都合のいい時に注文して部屋にとどけられるそうです。
相撲の外交としての強みと国賓のおもてなし
相撲の外交
シラク元大統領だけではなく、国技としての相撲には日本の外交の舞台としてさまざまな国賓を楽しませています。
政治的に重要な場において、日本政府は必ずと言っていいほど相撲による国賓の接待を用意しています。
イギリスのダイアナ元皇太子妃は1986年に夫であるチャールズ皇太子と大相撲を観戦しました。
外国人力士の出身国であるモンゴリやブルガリアの大統領も訪日の際はかならず相撲を観戦しています。
アメリカの歴代大統領の来日には相撲観戦が用意されています。
記憶にあたらしいトランプ大統領の来日での相撲での接待は歴史に残るほど豪華な相撲おもてなしでした。
相撲接待についての詳しい記事はこちらになります。
参考記事1:アメリカ大統領の訪日事例から学ぶVIP接待方法:
参考記事2:大人気 相撲体験! 外国人へ説明の仕方とおもてなし接待:
このような相撲での外交の歴史は、実は江戸時代にさかのぼります。
ペリーが来航した際にも、相撲観戦は江戸幕府が用意した外交接待だったのです。
1854年日米和親条約が締結の際、ペリー提督のおもてなしには力士達の名前も記載されていたそうです。
力士達は兵士たちに稽古相撲を披露したり、黒船に贈呈品を運んだと言われています。
おすすめの相撲体験
このように相撲は重要な外交の場や、日本という国をさらに相手に伝えたい時にキーワードとなる日本文化の一つ。
もし、接待をするお相手の外国人の方が、シラク大統領のように徹底的に相撲への興味がある人なら何時間でも枡席での観戦はたのしいのでしょう。
しかし何となく相撲は知っているけど詳しくはない。
折角日本にいくのだから力士を見てみたい。
と考えている方には相撲体験はいかがでしょうか?
相撲体験とは、相撲部屋で本物の元力士達と楽しい時間をすごします。
そうすることでより相撲を体感できる日本文化体験です。
元力士の真剣勝負を間近で観戦
普段は入ることが許されない土俵にあがって実際の力士と対戦
元力士達の作るできたて本格的なちゃんこ鍋をいただく。
と言ったように、なかなか日本人でもできないような相撲が体験することができます。
外国人の方にとって、言葉や日本の習慣など見えない壁が多くある中、外国人に向けた相撲体験は実際の日本文化を五感を通して体験することができることが人気の秘訣でもあります。
参考記事;相撲を英語で説明 | 人気の理由と外国人向け特別体験:
まとめ
2019年9月26日にこの世を去ったジャックシラク氏。
政治的なカリスマ性やイラク戦争への反対など、歴史において様々な場面で偉業をはたしました。
相撲から学んだ哲学を実践し、ブルドーザーのような男、といわれていたシラク元フランス大統領。
彼のあふれでる力強さの秘密は相撲にあったのかもしれません。
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