日本のマナーは海外からどう見える?外国人に伝えたい日本の礼儀作法・習慣について

Mayumi Folio
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ワールドカップで話題に上る、日本人サポーターが行う試合後のゴミ拾いは、毎回世界的な話題となっていますよね。

外国から見て日本のマナーは、「それはちょっとやりすぎじゃない?」という反面、「日本人のマナーの素晴らしさは世界一!」など、さまざまな見解があります。

日本人の礼儀正しさやマナーの良さは好印象を持たれていますが、そんな日本のマナーや礼儀は海外からみるととても独自なものとして感じるそうです。

そこで、本記事では世界から見た日本のマナー・礼儀についてご紹介します。

• 日本人ってどうして礼儀正しいの?

• 日本のマナーがしりたい。

• 外国人に日本のマナーを教えたい!

• 外国人ってどんな日本のマナーに困ることが多いの?

といった疑問・悩みを持っている人に役立つ情報です。

最後まで読めば、日本のマナーについてどういった部分が海外と違い、外国人が困るのかがよくわかりますよ。

ぜひ最後まで読んで、日本のマナー・礼儀について詳しくなってくださいね。

日本の礼儀とは 礼儀作法 歴史 文化について

日本のマナー・礼儀作法とは?

日本のマナーや礼儀の基本は、私たち日本人の子供の頃から教えられている、他者に対して常識のある行動を指して言います。

  • 初対面の人には敬語を使う
  • 挨拶は目を見てきちんとする
  • 親切にされたらお礼をつたえる

といったような、人々が社会生活を円滑に進ませるためのルールを守った行動のことを指し、礼儀作法は心の形を行動や振る舞いによって表したものになります。

このことからも、日本のマナーや礼儀の特徴には、行動だけではなく相手への気持ちに重点がおかれているのです。

では、実際に日本の礼儀やマナーの根底にある思想とはどんなものがあるのでしょう?

代表的なものに、人を大切に思い敬意を払う心や、常に相手を気遣う思いやりの心、自分自身を慎む謙虚な心が挙げられます。

これらの礼儀の心を表現する方法が形式化し、現在の日本のマナーや礼儀作法になりました。

日本の礼儀 心森羅万象 九十九神への敬意の心

礼儀作法やプロトコールマナーは一般的に、人に対して行われる行為とおもわれますが、日本では、本来自分と関わるすべての事柄が対象になります。

自分が外の世界と関わる時の敬意や愛情を込めた「まごころ」が、時や場所、場合によって表現された作法といえるでしょう。

日本人は人間以外にも、神仏や道具、水や空気,そしてその場やその時に対しても礼儀を行います。

神社の参道の中央を歩くのではなく、遠慮の気持ちから脇をあるくことは神道の礼儀作法になりますし、漆塗りの器を引き摺って移動させないことは、道具に対しての敬意や心遣いです。

夏の暑い日、夕方の打ち水は街の空気を涼めるための配慮で、おしぼりやお冷やなどは人の感じる温度感への配慮からうまれたサービス。

喪中の方に華やかなことやお祝いの場を誘わないなど、相手の置かれている状況に対しての礼儀もあります。

複雑そうな礼儀作法ですが、根本には「まごころ」があるので自分が常日頃から他者を思う時、自然とそのきっかけを見つけることができます。

おすすめ参考関連記事:驚きが隠せない!?外国人から見た日本特有の生活文化

礼儀作法の歴史

聖徳太子の十七条の憲法の中には、当時の貴族階級に向けての道徳や心がけについて書かれています。

これが日本の初めのマナーや礼儀に関しての文献です。

ここから朝廷や武家、貴族の間で歳時や儀式のなかで礼儀作法としての形がうまれまれ、その後、武家社会の殿中礼儀で、模範とされていた弓の名手小笠原家の小笠和流礼法があらわれました。

小笠原流の礼法は鎌倉幕府からの信頼をうけ武家社会のマニュアルになり、室町時代になると小笠原流と伊勢流、今川流を主として様々な流派の礼法が生まれまれます。

その中でも庶民にまで幅広く行われたのが小笠和流ですが、江戸幕府が将軍家以外、小笠和流を使っては行けない、”お止め流”の令を出します。

しかし水島ト也が江戸で小笠原礼法をもとに、庶民に必要なオリジナリティを加えた礼儀作法を広めまし、礼儀作法は一般庶民にも広がりました。

その後、近代化を進めたい明治政府が、学校教育を通し日本全国民に向けて礼儀作法の指導を始めます。

もちろん各家庭においての礼儀作法は、親から子供へとつたわっていきました。

現代の私たちが身につけている日本の基本のマナーや礼儀作法につながっているのです。

参照サイト:小笠原流礼法 公式

外国人から見た日本のマナー・礼儀

海外からみる日本人の礼儀正しさ

ワールドカップのゴミ拾いの話題のように、日本人は外国人からすると非常に礼儀正しく映ります。

日本人の礼儀正しさは外国人を驚かせる一つとなり、訪日外国人は日本のアマジングな体験として口コミやSNSによって日々拡散しています。

たとえば、電車に乗る際に列になって並ぶ姿勢や割り込みをしないことは日本人にとっては当たり前のマナーとなっていますよね。

日常的には電車の中ではとっても静かで、清潔。

よほどのことがなければ大騒ぎしている人はほとんど見かけませんし、乗車する人と下車する人は暗黙の了解で並んでいます。

ホテルや旅館やレストランやデパート等でのおもてなし接客業においては、どんな方々に対しても大変丁寧に接していただけるので、自国にない礼儀正しさとして感じられるそうですし、

どんなレベルのホテルでも、客人として扱ってくれる接客姿勢は、日本では当たり前の風景かもしれませんが、外国ではまずあり得ません。

チェックイン時のお礼や部屋の案内時の挨拶や、ほとんどのレストランでの接客姿勢など、一挙手一投足においてお客様を大変良くもてなしてくれていると受け止められます。

しかもそれらは日本人がこれまで歴史的に培ってきた自然な行動から出る社会的風習の上にあること。

日本滞在する日常の中で、マナーを守りながら過ごす大勢の日本人を見かける外国人には、やはり日本人は礼儀正しい、と感じるそうです。

日本の公共空間でのマナー

日本の公共空間では、基本的に静かに過ごします。

他人に極力迷惑をかけることがないよう行動することが求められ、暗黙の了解が最も多い空間とも言えるでしょう。

例えば電車の中では静かにすごし、多くの人が利用しているので他人の迷惑にならないよう場所を選び、スマホ通話も乗車中はなるべく避け、音楽の音漏れにも気を配ります。

通勤時間の電車が代表的ですが、あれだけの人が毎日電車を利用していてもほとんど事故がないのは奇跡ではなく、日本人のこうした習慣によるものです。

また、ゴミ類は持ち帰り、喫煙は限られた空間のみ嗜むことができます。

日本の食事のマナー

最近の訪日外国人の方も、世界に広がる日本食によって箸の持ち方もなかなか、慣れればみなさん美しく使っていますよね。

しかし、日本の食事のマナーの中で外国人が知ってよく驚くのは、指し箸、なめ箸といった箸の使い方のマナーが細かいこと。

さすがに外国で細かな箸のマナーで学ぶことは、ほとんどないため箸のマナーを知る外国人は少ないです。

汁物を食べる時に音を立てても平気というのも、ほんとに驚かれます。

特に欧米で食事中に音を立てるのはマナー違反なので、日本のラーメンや蕎麦などのお店で、逆に実際にそのシーンを目の当たりにしてみたい訪日外国人もいるそうですよ。

よく困惑されているのは、お酌のマナー。

挨拶がわりや、空いてるグラスにどんどん注ぐ日本のお酌マナーは、外国人からするとかなり複雑だそうです。

中国や韓国など同じアジア圏の人にはそこまで問題にはなりませんが、欧米人には特に困るマナーなんだとか。

なので、もうかなりお酒によっていそうな人のグラスに無理に注ぐことはやめましょう。

日本のビジネスマナー

ビジネスシーンでのマナーはもちろん外国にも存在します。

しかし、仕事で訪日する外国人の人にとって、身につけるべきなのでここでもかなり困惑を浮かべる外国人は多くいます。

名刺交換の方法から始まり、アフターファイブの付き合い方など、日本独自の暗黙のビジネスルールは数多く存在しますよね。

代表的なのは、商談の際の名刺交換にはじまり、地位による座席の順番、時間通りは10分前が当たり前、メールの決まりある文面や、言いにくい内容は曖昧に伝える。

など、日本独自すぎて理解ができない…と考える人も。

日本人でも、社会に出て先輩から学びながら身につけていくマナーなので、突然の外国人にとってはかなり難易度が高い習慣といえるでしょう。

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日本のマナーで外国人が困ること・分かりづらいこと

日本のマナー・礼儀と外国人

日本人同士でのコミュニケーションを円滑にきもちよくすすめる日本社会の様々なマナーと礼儀作法。

時としてこれはお互いが常識として知っているから成り立つもので、同じよう習慣で生活していない外国とは少し異なります。

もちろん、挨拶やお礼言葉など世界共通の気持ちの表現はありますが、細部では国によって違いがあるのです。

なので、日本社会をよく知らない外国人の方に、日本のマナーや礼儀作法の常識が相手に届かないと嘆くことは本末転倒。

それでは相手を思いやる礼の精神、まごころの精神から大きく外れてしまいます。

もし、マナーをよく知らない外国人にあっても、ここは日本人らしく、相手へのまごころを思い出して接していきましょう!

といっても、伝えることは大切なので、もし身近な外国人が日本のマナーについて困っていたら、そっと伝えてみれば、きっと喜んでくれますよ。

おすすめ関連記事:【外国人が困ること】分かり難い 日本特有の習慣やマナーやしきたり文化10例

謝るが勝ち?謝ったら負け?

とりあえずあやまる日本人。絶対に謝らない外国人。

謝罪に関しての価値観が日本は諸外国との間には、大きなずれがあります。

なぜなら、日本では「謝るが勝ち」という言葉があるほど、「とりあえず謝っとこう!」という風潮があります。

「申し訳ございません」「ご迷惑をおかけいたします」などの謝罪の言葉は、日常的に誰もがよく使うのではないでしょうか?

この態度は、外国人からすると大変奇怪な行動に映るそうです。

「非を認めたら負け」という概念でほとんどの国が回っているので、そんなにすんなりと謝られたり申し訳がられたりするのは、肩透かしを食らったような感覚にうつります。

謝罪会見などでは、政治家や企業幹部がお辞儀して謝っている姿勢がよく見受けられますよね。

日常の中で販売員や飲食店の店員も、外国人がびっくりするぐらい「申し訳ございません」という言葉を発します。

そのような姿勢は、ほとんど海外では見受けられませんし、外国人からするとそんな立場の人間が簡単に謝罪をしていいものなのか?一体誰に謝っているのか不思議な感じにうつるそうです。

このマナー習慣が社会に浸透している理由として、日本では、謝罪や感謝の気持ちを態度できちんと表すことが、社会に対して「けじめを示す礼儀」として重要視されているから。

「相手を敬い上げ、自己を下げる」風潮がある日本では、その表現作法としての謝罪が存在します。

「なんで日本人はあんなに謝るの?」と外国人に不思議がられたら、「日本独自にある謙遜の表現作法の一種だよ」と伝えてあげるといいかもしれません。

外国人から解りづらい「察する」日本の習慣

外国人の方が日本のマナーの中で一番難しいと感じることに、日本のマナーや礼儀の基本である「相手の気持ちを察すること」だといいます。

“ああ、ほんとはこんなことを言いたいのだろうなぁ”

“多分、こうして欲しいのかなあ?”

と、つねに会話や行動、そして相手の状況の中から相手の気持ちを察することが日本で生活するには大切なスキルになります。

しかしこの察するという行為が外国の方にはなかなかな難しい問題です。

日本語の曖昧さ

日本語の持つ独特な文法構造も影響します。

日本語は、会話の内容によっては主語を毎回いわないでも相手に伝わるし、話しながら最後に言いたい事を述べればいいので、自然にお互いを察しながらコミュニケーションをとっています。

しかし、英語をはじめとするほとんどの外国語はそういった曖昧な文章でのコミュニケーションは不可能。

どんな文章にも必ず主語が必要ですし、文章の主題ははじめに登場します。

なので話しながら相手が「きっと汲み取ってくれるだろう」というこちらの思いがあっても察してくれることはほとんどなく、曖昧ないいまわしはトラブルになりかねません。

案外、このような言語によってのお互いの礼儀やマナーが伝わっていないトラブルは起きやすく、注意したい点でもあります。

大切なことは真心を込めてきちんと直接お伝えした方がお互いに気持ちがいいですよね。

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日本のマナーや礼儀を学べる日本文化体験

「道」の中の礼儀の教え

そのなかでも、“道”がつく日本の文化の中には、マナーや作法が凝縮されています。

茶道や武道にみられる礼儀作法は、特に相手にたいしての心のあり方を作法として伝統的に継承されている物が多く、作法をとおして哲学を体感して行きます。

その複雑な工程は「身につけたい」という意思のもとに、時間と環境をととのえて学習しなければならず、なかなか安易には習得できません。

日本の礼儀を理解する上で、これらの「道」のつく日本の伝統文化をしることは、とても深い関係があるので外国人からも注目があつまっています。

短期滞在の訪日外国人の方も日本文化体験によって、実際に日本の「道」がつくことを体験することは、日本の礼のこころにふれることでもあります。

茶道体験、武道体験をはじめとした日本文化体験は、訪日外国人に大変人気があるのはこの理由も考えられるでしょう。

じっくり習い事として身につけるのは難しくても、一度体験してみたい!と考える訪日外国人の数は年々急増しています。

実際に日本で道の世界を体験することで、日本の礼の心を感じたいと考える外国人の人は多く、日本文化体験の魅力はつきません。

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外国人研修やチームビルディングと日本の礼儀・マナー

外国人研修やチームビルディングに、日本のマナーや礼儀を学ぶ体験を選ぶ外国企業が増加しています。

これは、日本の質の高いサービス業務を学ぶことから、自社の社員教育につながるという考えです。

日本のサービスは世界一と言われています。

サービスを提供する側にすれば「常に全社員が均一にマナーや礼儀を提供している」ということです。

こうした日本のホスピタリティを学ぶために、海外から日本へ留学する方もおおく、プロの目線からしても日本の礼儀やホスピタリティへの感度の高さを伺うことができます。

そして実習としてマナーや接客業務のノウハウを学ぶだけではなく、チームビルディングに日本文化体験をとりいれる動きもでてきています。

空手や相撲などの日本の武道にある、相手を敬う気持ちや礼儀の心を学び、チームワークをより深めるという試みです。

また、茶道や華道体験でのチームビルディングにも人気があり、作法を学ぶことから自分を見つめ直し、他者への配慮をみにつけていきます。

このように、日本文化体験から日本のマナー・礼儀を学んでみたい!と考える訪日外国人が増えているという側面もあり、動向の動機を知ることは大切になるのではないでしょうか?

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まとめ

「礼のこころが日常に浸透し、義をもって行動する」このような礼義の精神が日本にはあります。

現在まで続く礼儀の心が続くのは、それはどんな時代においても、相手に礼を尽くす事はとても大切なことだと考えるに行き着いたからでしょう。

礼義の心。

それは時を超えて現代のわたしたちにまで届き、現在は国境をこえて日本の礼義がすばらしいと、今世界が注目しています。

いにしえの人々が現在の私たちまで伝えてくれたように、今度は私たちが世界の人々につたえてゆく番。

日本から世界にまごころの和が広がっていくといいですよね。