海外で人気がある日本文化とその理由は?|体験できる日本文化12選

「日本を訪れるお客様に、特別な思い出を作ってもらうにはどうすれば良いだろう?」

海外からお客様を迎えられる場合、このように悩まれている方もいらっしゃるでしょう。

せっかくなら、海外でも人気がある日本文化でおもてなしをしたいですよね。

日本を訪れる方の多くは、日本でしか味わえない「体験」に期待しています。

例として海外でも人気の高い歌舞伎であれば観劇はもちろん、舞台化粧や舞台装置といった「舞台裏」の見学がおすすめです。

工程や仕組みを知ることで造詣を深めるとともに、より「特別な体験・思い出」として記憶してもらえるでしょう。

今回は、海外の方に人気な日本文化と、その人気の理由を紹介します。

実際に体験できる日本文化12選もあわせてご紹介しますので、海外の方をおもてなしされる際に参考にしてみてください。

目次

海外で人気のある日本文化は?

海外の方に人気な日本文化といえば、次のようなものがあげられます。

  • 歌舞伎や能といった独特な伝統芸能
  • 侍や忍者などの日本にしかない歴史上の存在
  • 日本特有とされる「漆」を使った工芸品
  • 海外の名だたる画家たちへ影響を与えた浮世絵
  • 日本独自の調味料と調理法で作られる食文化・和食
  • 各地で特色や効能が異なる温泉

このように島国で独自の歴史を築き上げてきた日本は、海外でも人気な文化が豊富です。

なお、侍や忍者といった歴史上の存在は、特定の人物だけでなく”精神論”が人気を集めている場合もあります。

日本文化が海外で評価されている理由

日本の文化は特殊な環境とさまざまな条件が重なり、オリジナリティにあふれた現代のかたちを構築しました。

その日本文化が海外でも人気である理由は、大きくまとめて次の通りです。

  • 奥深いおもてなしの心
  • 精神力と礼儀を重んじる「道」
  • 他に類をみない宗教観
  • 独特な自然景観と四季

一つ一つご説明しましょう。

奥深いおもてなしの心

東京2020オリンピックで話題となった「お・も・て・な・し」の文言は、まだ記憶に新しい方も多いでしょう。

日本人は古くより、見返りを求めず相手を思いやる「おもてなし」を重視してきました。

その心は茶道や芸者など、日本文化に深く根差しています。

そして現代でもおもてなしは「お客様を迎える基本の精神」として日本で受け継がれ、実際におもてなしを受けた海外の方からも高く評価されています。

精神力と礼儀を重んじる「道」

華道や柔道、しいては武士道など、日本にはさまざまな「道」が存在します。

いずれも技術や技の向上だけでなく、清く・正しく・美しくあろうとする、それでいて芯の強い精神と相手を敬う礼儀を説いているものばかりです。

何事においても自分を律し、人間性を高めたいという日本人の思いが現れており、海外の方にも賞賛されています。

他に類をみない宗教観

日本は神を信じる神道と、仏を信じる仏教が対立することなく共存するという、世界的に見ても珍しい宗教観を持っています。

同時に「全てのものに神が宿る」という八百万の神信仰が根底にあるため、物やことに対しても畏敬と感謝の念を持って接するのも特徴です。

日本でよく耳にする「出会いに感謝」という言葉は、その象徴といえるでしょう。

そして日本では特定の宗教を持たない人が多く、外国の宗教や風習を否定せず受け入れる柔軟な姿勢が好感を持たれています。

四季の存在と独特な自然景観

海外にも四季がある場所はありますが、日本のように島国でありながら、数か月単位で季節が切り替わる国は世界でも珍しい存在です。

そして何より、日本は四季それぞれの特徴・季節を「愛でる」という習慣があります。

旬の食べ物や虫の声といった、四季によって移ろう自然景観とイベントで季節を味わいながら楽しむ文化は、日本特有のものといえるでしょう。

日本を訪れる海外の方は訪日した季節によっても楽しみ方が変わり、何度来ても飽きが来ない要因になっています。

実際に体験できる日本文化12選

続いては、実際に海外のお客様も体験してもらえる、日本文化12選をご紹介します。

いずれも海外でも人気が高い日本文化ですので、きっと喜んでいただけるでしょう。

1. 能・歌舞伎

海外でも特に人気の高い日本文化が、能や歌舞伎です。

能は平安時代に中国から伝わった「散楽」を起源とし、室町時代に観阿弥・世阿弥の手で今に通ずるかたちへと発展しました。

大きな動きや無駄なセリフをそぎ落とすことで洗練された能は、武家や貴族を中心に、格式の高い音楽として扱われることが多かったのだとか。

一方、歌舞伎は江戸代中期頃に奇抜なファッションや動きが特徴で、庶民を中心に人気を博しました。

大衆演劇としてのポジションを獲得した歌舞伎は、回し舞台のような演出の工夫を重ね、次第に今のかたちまで発展しました。

能と歌舞伎は共通する演目も多々あり、歴史的な観点から見てもユニークな文化として人気です。

体験としてはプライベートな空間で実際の能・歌舞伎を観劇するほか、小道具や歴史を学べるミュージアムの観覧や、役者の化粧や舞台装置など舞台裏の見学もおすすめです。

2. 侍・殺陣

映画や演劇などでも題材として取り上げられることの多い「侍」は、海外でも「SAMURAI」として人気の高い日本文化です。

”武士道”と呼ばれる忠義や信義・礼儀を重んじ、己を律する思想・精神論は海外の”騎士道”に通ずる面もあり、侍の魅力の一つです。

また侍をモチーフにした作品に定番の「殺陣」は、迫力のあるシーンで特に注目されています。

そもそも殺陣(たて・さつじん)とは、演劇や映画などで俳優が行うアクションシーンの演技・立ち回りのことを指します。

海外の方に参加してもらう体験では、プロの殺陣師によるデモンストレーションや、模造刀による撮影・演技指導などが人気です。

3. 忍者

侍と同様に日本独自の文化・存在として「忍者」があげられます。

歴史的には”忍び”と呼ばれ、医学・薬学などの総合的な知識を基に、特定の主君に仕えて隠密行動や護衛をしたとされています。

それが、次第に魔法のような技、いわゆる”忍術”を使う創作のイメージが有名になり定着してゆきました。

隠密行動を主にしていたこともあり、フィクション映画や漫画・アニメなどのサブカルチャーで多く取り扱われている忍者は、ミステリアスな存在として人気を博しています。

手裏剣などの武器を使った体験やアクションショー、忍者の歴史や文化を学べるワークショップなどは、日本でしか味わえない特別な思い出となるでしょう。

4. 茶道・華道・書道

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茶道・華道・書道は、日本の伝統芸能における「三道」と呼ばれ、国内でも習い事として人気があります。

特に茶道は”千利休”を発端として日本の歴史上、大きなブームを巻き起こしており、戦国時代などの日本文化・歴史を知るうえで欠かすことのできない存在です。

三道はいずれも、洗練された所作や研ぎ澄まされた精神力を要します。

しかしその道のプロフェッショナルによるデモンストレーションや、初心者向けに簡素化したワークショップであれば、予備知識のない海外の方でも気軽に楽しんでもらえます。

体験を通して海外の方にも、三道それぞれの魅力と奥深さを味わってもらえるでしょう。

5. 芸者・舞妓

芸者や舞妓は、地域によって”芸妓”や”半玉”など呼び方が異なりますが、京都発祥の芸能文化です。

舞妓は、10代を中心に芸者を目指して修行中の女性を指し、衣装や髪型・化粧にも子どものあどけなさを残した風貌をしています。

対して芸者は、20歳以上かつ、芸事が一人前に成熟した女性を指します。

衣装や髪型かんざしなどの小物も、舞妓に比べてシックで大人びたものに変化するのが特徴です。

いずれも歌や舞・芸事でお客様をもてなすのが役割で、その優雅さと教養の高さ、日本独自の文化であることから「日本でしか会えない特別な存在」として海外でも人気があります。

食事の席での接待や踊りの鑑賞、参加型のゲームであるお座敷遊びで特別なひとときを体験してもらえるでしょう。

また、女性のお客様であれば、舞妓の衣装やメイクで撮影や観光を楽しめる”舞妓体験”もおすすめです。

6. 漆器や金継ぎなど伝統工芸

紙や木の器などに漆(うるし)を重ねて塗ることで作る漆器は、日本特有の工芸品とされています。

この漆は植物のウルシから採取される樹液を原料としており、防腐・防虫効果が高いことから、日本では縄文時代より使われていたとされています。

また、漆と金粉や銀粉を用いて漆器に施される蒔絵(まきえ)は、そのきらびやかさと繊細な装飾技法が特徴です。

日本の漆器は16世紀頃ヨーロッパの人々にも受け入れられ、漆器のことを「ジャパン」と呼ばれるまでになりました。

そして、日本独自に発展した「金継ぎ」も、近年海外で注目を集めている伝統工芸の一つです。

割れた陶器を漆と金粉などを用いて修繕し、新たな美しさをもたらす「金継ぎ」は、傷跡を隠すのではなく”個性”として陶器に新しい価値を生み出します。

製作工程の見学や工房での体験はもちろん、お土産としても人気の高い工芸品です。

7. 和太鼓

太鼓は世界各国でもそれぞれ発展している、比較的ポピュラーな打楽器です。

しかし日本の和太鼓は、ダイナミックかつ迫力のあるパフォーマンスや、力強い音色が海外においても人気な伝統芸能でもあります。

歌舞伎などでも使われており、日本の文化や芸能を語る上で欠かせない存在といえるでしょう。

お祭りなどで活躍し、和太鼓の中でも代表的な長胴太鼓は、叩く鼓面に牛や馬などの動物の皮が用いられます。

”胴”と呼ばれる木製の側面部分は、形成した木を乾かす工程だけで、2〜3年の年月を要するのだとか。

鼓面である革を張る際は、専門の職人が太鼓の上に乗ってかかとで踏み伸ばし、均一に皮を張るとともに音色を細かく調整します。

この独特な製造工程は、和太鼓のダイナミックな音色からは想像できないほど、繊細かつ緻密な作業となっています。

体験では制作工程の見学やワークショップ、プロの和太鼓ミュージシャンによる生演奏やパフォーマンスを楽しむほか、演奏に参加して一体感を楽しむ演出も人気です。

8. 日本食

日本を訪れた人のうち、人気が高い文化に「日本食」があります。

リピーターも多く「次に日本を訪れた時にも食べたい」と考える人が少なくありません。

日本食和食は目で見て楽しいだけでなく、シンプルな味付けで食材そのもののうまみや奥深さを堪能できるのがポイント。

ヘルシーな食材と調理法で、健康面に気を遣っている方にも人気です。

食べるだけでなく実際に自分で和食を作ってみる料理教室や、板前さんと直接会話ができる演出など、さまざまな形で体験できます。

また、形式ばった和食だけでなく、私たち日本人が一般的に食べているような飲食店や居酒屋が好まれる場合もあります。

意外なことに海外では日本で独自の進化を遂げたラーメンも人気が高く、ハリウッド俳優のキアヌ・リーブスさんも、ラーメンを食べるため頻繁に日本を訪れているのだとか。

典型的な「和食」に限定せず、お客様の嗜好・要望に応じて変更することで、より食事や旅行を楽しんでもらえるでしょう。

9. 座禅・写経・写仏

座禅の歴史|鎌倉時代に伝わり、現代の若者・外国人に注目されるまで

仏教はインドを発祥とし、日本へは中国やベトナムより伝来したとされる宗教です。

日本では縄文時代より信じられていた「八百万神信仰」と共存しつつ、仏教は独自の発展を遂げました。

そして日本の仏閣では、迫力のある金剛力士像や「奈良の大仏」として知られる廬舎那仏などオリジナリティあふれる仏像が多く、芸術品としても高く評価されています。

体験では、座禅が手軽に参加できるため人気です。

またお経を写す写経や仏画を描く写仏なども、内容や仏像の理解より”精神統一”の意味合いが強く、海外の方でも気負わずに参加できます。

日常の喧騒を忘れて穏やかな精神を取り戻す時間や空間は、近年流行している瞑想に通ずるところもあり、非日常を味わう特別な体験となるでしょう。

一風変わったものとして、僧侶の修行や生活を一日を、通して体験するお寺への宿泊(宿坊)もおすすめです。

10. 温泉

世界各国にも温泉はありますが、日本の場合、温泉のある土地特有の歴史や情緒あふれる風景を味わえるのが魅力です。

また美肌や疲労回復など、温泉ならではの効能や、大自然の中で開放的に入浴できる露天風呂なども「今ここでしか味わえない体験」といえるでしょう。

同じ温泉でも地域や施設によって温泉の効能はもちろん、街の文化や雰囲気が異なるため、何度訪れても飽きることがありません。

施設によっては併設された日本庭園や足湯を自由に散策できたり、街を散歩するための浴衣や提灯などを貸してくれたりと、手厚いサービスも外国人旅行者から人気を集める理由になっています。

ただし、海外の方は人前で裸になる日本の入浴方法に抵抗を示される場合もあり、配慮が必要です。

その場合、ラップタオルまたは水着での入浴が可能な施設やプライベート温泉を検討することで、抵抗なく温泉を楽しんでもらえるでしょう。

11. 着付け

気軽に日本の衣装文化を楽しめ、かつ人気のある体験が、着物の着付けです。

きらびやかな装飾はもちろん、熟練の職人たちによる製造工程や格式の違いなど、着物に秘められた日本文化を知ってもらう意味でもおすすめです。

平安時代の十二単や、江戸時代に発布された奢侈禁止令(しゃしきんしれい)などがいい例でしょう。

またカジュアルな浴衣や、フォーマルな振袖・留袖など種類も豊富で、小さなお子様から楽しめるのもポイント。

ご家族で日本へ来られているお客様には、着付け後の散策や、日本庭園での写真撮影などが喜んでもらえるでしょう。

ヘアセットから着物に合う小物の貸し出しまで、すべてプロにお任せすることで、お客様は手ぶらで体験に参加できます。

12. 浮世絵

浮世絵は日本が誇る芸術文化の代表で、海外でも高い評価を得ています。

江戸時代に生まれた浮世絵は、開国したのち、またたく間に世界へ広がり「ジャポニズム」として多くの画家たちに影響を与えました。

クロード・モネやポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホなどもその影響を受けたことで有名です。

それまで、見たままの現実をそのまま表現することが良しとされていた欧米の人たちの目には、葛飾北斎などが描いた日本の浮世絵はとても斬新なものに映ったのだとか。

版画を使うことにより低価格で量産できる浮世絵は、海外の富裕層だけでなく一般家庭でも広く楽しまれたとされています。

日本ではその原画やさまざまな作品、そして技法・歴史を美術館や博物館で楽しめます。

実際に自らの手で、浮世絵を刷るワークショップでの体験もおすすめです。

本物のおもてなしで特別な思い出を

このように私たちの日本には、美しく歴史のある文化がたくさん残っています。

海外の方々には実際に日本を訪れ体験してもらうことで、その魅力をさらに感じてもらえることでしょう。

ただし、なかには私たち日本人ですら、本来の魅力や伝統を理解しきれていない文化も少なくありません。

真の意味でお客様を「おもてなし」し、感動してもらうためにも、その道のプロフェッショナルに力を借りることをおすすめします。

また一つの文化・体験だけに絞るのではなく、歌舞伎と和太鼓など関連する複数の文化を体験してもらうと、より日本の文化を深く理解してもらえるはずです。

そうすることで海外のお客様も特別な思い出になると同時に「また日本に行きたい」、「次はこんなことをしたい」と感じてもらえるでしょう。

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